異色の「クッキー&クリーム揚げ」誕生秘話
――自分でつくることができると、子供は夢中になりますよね。串カツ田中といえば、ココアクッキーを揚げた「クッキー&クリーム」などの珍しいメニューも知られています。
坂本 「クッキー&クリーム」は、以前アメリカに店舗があったとき、そこの従業員が「ためしに揚げてみたらおいしかった」ということで、レギュラーメニューに採用したんです。でも、これは特例で、普段は副社長の田中洋江が管轄するマーケティング部がさまざまなメニューを開発しています。テストを繰り返して「これはいける」と思う食材でも、まだメニュー化してないものがいくつかあります。今後、タイミングがあれば出していきたいですね。
――一方、大人が楽しめるのが「チンチロリンハイボール」です。サイコロを2個降って「ゾロ目が出たら無料」「偶数なら半額」「奇数なら2倍のメガサイズで料金も2倍」になるというサービスで、多くのお客さんが楽しんでいます。
坂本 確率的には、半分がメガで6分の1が無料、3分の1が半額。どれが出ても、お客様が損しないようになっています。
――「今月はゾロ目が多く出すぎて赤字」みたいなことは起こらないんですか?
坂本 売り上げを見ると、面白いぐらい確率どおりに落ち着いているので赤字にはなりません。サイコロを振るときは店員が鐘を鳴らして盛り上げるんですが、それにもちゃんとマニュアルがあるんですよ。従業員にも、声が小さい人や内気な人など、いろいろなタイプがいるじゃないですか。でも、鐘なら誰でも鳴らせるので従業員もやりやすいし、お客様も盛り上がるのでいいサービスになっていると思います。
中国人にも人気の高い串カツ
――海外展開は、今後も継続するんですか?
坂本 12月1日には、フランチャイズ店ですが、ハワイのワイキキ横丁という日本の飲食店が並ぶショッピングモールに出店しました。現状、まだ日本でやらなければならないことも多いので、まずは国内を優先しますが、ゆくゆくは海外にも出店したいと考えています。
――では、中国などに出店する可能性も大きい?
坂本 ある調査では、中国人が日本旅行で食べたものでおいしかったランキングの3位に串カツが入っていました。寿司、ラーメン、串カツの順番ですね。揚げ物はアジアで好まれますし、ソース味も受け入れられると思うので、親和性は高いと思っています。
――世界の「KUSHIKATSU」になったら、前編で話が出た、田中副社長の亡き父親が残した秘伝レシピのメモは金庫に入れて保管するような企業秘密になりそうですね。
坂本 そうなるといいですけど、あのレシピは今も田中の家に普通にしまってあると思います(笑)。
(構成=ソマリキヨシロウ/清談社)