日本経済、「好調」局面突入の兆候…衆議院解散総選挙→自民勝利でさらに景気上振れ
日本経済の全体的な動向をみるという意味では、代表的な指標としてGDP、すなわち経済成長率等がある。最近の四半期ごとの状況をみると、日本経済は特に2015年からプラス成長になったりマイナス成長になったりと、一進一退を続けてきたが、16年以降、ようやく3期連続でプラス成長になった。
内訳をみると、個人消費が明確に回復とはいわないまでも、これまで続いてきた悪化が止まってきたといえる。その最大の要因は、耐久消費財である。
この背景には、09年度から10年度にかけて、家電エコポイントやエコカー補助金等により家電や自動車販売の特需があったことがある。一方、内閣府の消費動向調査によれば、こうした耐久消費財の平均使用年数は7~9年程度である。このため、長年低迷していた車や家電等の耐久消費財の購入が買い替えサイクルの到来により増加している可能性がある。
しかし一方で、16年の年明け以降、急速に進んだ円高により、企業マインドが悪化したことから、設備投資の数値は依然低迷したままである。
そのようななかで、計画されていた消費増税は先送りされた。この点については、少なくとも来年度の経済にはプラスに効いていくと考えられる。実際、日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査を基にした消費増税先送り前後の経済見通しに基づけば、消費増税が先送りされたことによって、GDPは4兆円程度恒常的に水準が高くなると計算される。
もう一つは、事業規模28兆円の大型の景気対策である。中身を見ると、国が実際に負担をする真水部分は7.5兆円しかなく、今年度ベースでは5兆円強程度の真水の景気対策になるようである。それを踏まえると、今年度と来年度の経済成長率をそれぞれ+0.2ポイント程度、+0.3ポイント程度押し上げられると予測される。さらに中身を見ると、公共事業系のウエイトが大きいため、建設関連には一部恩恵がいく可能性はあるが、表面上の数字ほど大きな効果は期待できないことには注意が必要だろう。
最悪期を脱出
生産活動は、マクロ経済全体でみると増産に転じ始めている。鉱工業生産の生産計画まで入れると、在庫率が下がっていることもあり、秋口以降は明確な増産基調になっている。マクロ経済全体で生産調整が終了している状況をみると、日本経済はようやく最悪期を脱しつつあると見ることができよう。