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トランプ恫喝に戸惑うトヨタら自動車各社…とっくに米国企業以上に「米国第一主義」

文=編集部
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 フォードも小型乗用車「フォーカス」をメキシコの新工場で生産する予定で、16億ドルを投資する計画だった。しかし、米国市場はこれまでのガソリン安も手伝って乗用車系からSUV(スポーツ多目的車)に売れ筋がシフトし、いくらメキシコとはいえ、計画自体が時代遅れなことにフォードは気がついたのだ。そのタイミングでトランプ氏がメキシコ新工場を「恥知らず」と名指しで非難したものだから、フォードにとってはまさに渡りに船。「ハイ、わかりました」とばかりに工事をすぐさま中止した。

 その代わりに、急速に進んでいる電気自動車の量産関連で米国内工場に7億ドルの投資をすると発表。こうしてフォードは何くわぬ顔で自社の戦略の軌道修正を終えたのだ。このままでいけば、トヨタやGMもメキシコ戦略を変えることはないだろう。ニューヨークタイムズ紙によれば、いまだに北米自由貿易協定の改定策は固まっていないという。これはメキシコ、カナダを含む3国間協定なので、改定するにしても1年以上の時間がかかるというのが専門家筋の見方だ。

「米国第一主義」「雇用創出」を掲げる新政権としては、賃金格差を理由にしたメキシコへの工場移転を阻止するのが第一義的な目的だが、今の情勢下で新規にメキシコ移転を検討する企業はないだろう。新政権で商務長官に就任予定のウィルバー・ロス氏は投資家であると同時に経営者であり、現在も米国とメキシコに自動車部品工場を持っている。そのご本人が選挙中に「35%の国境税は選挙対策のことで、実際には起こりえない」とまで言っている。

「圧倒的にアメリカン」な日本車

 トランプ政権誕生後の先行きは不透明だが、トヨタをはじめ日本の自動車メーカーと新政権との神経戦は続くことになる。なかでも神経をとがらせているのが、米国内の販売台数に対して米国内の生産比率が低いトヨタと、メキシコでの生産比率が高い日産自動車だ。

 米国内の販売台数(2016年)を見ると、トップがGMで304万台、2位がフォードで259万台、3位がトヨタで244万台となっている。ちなみにホンダは5位で163万台、日産がそれに次いで156万台となっている。

 しかし、トヨタはカナダでの生産が約59万台と多いだけに、米国内の生産台数だけをみれば、米国内販売台数に対して米国内生産は55%ほどでしかない。ちなみにホンダは米国販売台数の約70%を米国内で生産し、カナダ、メキシコを含めた北米生産ということでは米国内販売台数の96%をまかなっている。トランプ氏のいう米国第一主義でいえば優等生だ。

BusinessJournal編集部

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