25歳の誕生日を迎えて「めでたくない……」と落ち込む女性が、2人の友人から「今日からあんたは女の子じゃない!」「もうチヤホヤされないし、ほめてもくれない、下にはキラッキラした後輩……」と現実を突きつけられ、「なんか、燃えてきた」と決意を新たにする。
また、パンを食べながらパソコンに向かう仕事中の女性に対して、男性上司が「今日もがんばってるねぇ」「それが顔に出ているうちは、プロじゃない」と一刀両断する。
昨年、この資生堂の化粧品ブランド「INTEGRATE(インテグレート)」のCMに、「女性差別」「セクハラだ」と批判が殺到した。結局、同CMは10月7日に放送中止に追い込まれ、ブランドのウェブサイトからも削除されている。
資生堂に限らず、ここ数年、「女性差別だ」として炎上するコンテンツが急増している。2015年3月には、駅ビル・ショッピングセンターを運営するルミネがウェブサイトで公開した「働く女性たちを応援するスペシャルムービー」が批判を浴びて炎上、やはり公開中止になっている。
なぜ最近、CMの女性差別が問題視されるのか。また、炎上するCMには、どんな共通点があるのだろうか。
ルミネ、家事ハラ、「ウナギ少女」も大炎上
「『女性としての役割』を固定化したり、紋切り型の女性像を肯定したりしているような内容のコンテンツは、総じて炎上しやすい傾向があります」
こう説明するのは、『ネット炎上の研究』(勁草書房)の共著者で、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師の山口真一氏だ。
たとえば、前述のルミネのムービーはその典型だ。第1話では、カジュアルな服装の女性社員が、巻き髪でフェミニンなファッションの女性社員を横目に自信がなさそうな表情を見せると、上司らしき男性社員に「大丈夫だよ、君とは需要が違うんだから」と嘲笑される。
そこで、画面いっぱいに「【需要】じゅ・よう 求められること。この場合、『単なる仕事仲間』であり『職場の華』ではないという揶揄」とテロップが入り、嘲笑された女性社員が「変わりたい? 変わらなきゃ」と決心する内容だった。
「『女性は男性受けする職場の華であるべし』といった紋切り型への当てはめに加え、当の女性側も、そうした男性社員の意見に迎合しているようにも見えるのが、炎上した要因でしょう」(山口氏)