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「炎上させている人たちは、それなりの立場にいる人で、かつ、テレビやインターネットといったメディアに触れる時間が長いことがわかりました。つまり、自分の考えをしっかり持っている層です。そのため、自分の信条と違っていたり正義感を刺激したりするような話題に手厳しい。また、彼らにはネット上で同じ意見を持つ仲間内で集まりやすい傾向もあり、そのため書き込みが連鎖していくのです」(同)
女性差別だとして炎上したコンテンツは、実は差別された女性側ではなく、多くの男性が炎上させていたのである。炎上騒動とは、収入も地位もそれなりに高い男性たちによる、いわば義憤に駆られた「正義の鉄拳」だったわけだ。
過度な女性差別批判で「女尊男卑」の時代に?
もっとも「ネット炎上は、必ずしも悪いことばかりではありません」と山口氏は語る。
「正義感が強すぎると社会全体が不寛容になり、対処が難しくなる部分もあります。炎上に参加する人たちの目を気にするあまり、表現の自由が損なわれる可能性だってあるでしょう。しかし、少数意見の声が反映されるのはネットメディアの利点でもあります。特に、日本は諸外国に比べて女性問題についての意識が低いので、そこに世間の関心が集まるのは悪いことではありません」(同)
その一方、ここ数年、女性をターゲットにしたコンテンツに対する監視が強まり、そうした状況を「女尊男卑」と揶揄する人も少なからずいる。
「確かに、男性よりも女性に対する差別のほうが厳しい目にさらされている面はあるでしょう。権利でいえば、これまでは女性よりも男性が有利だったことは事実で、現在も給与や待遇で女性のほうが不利な場面もある。女性差別といわれるコンテンツの炎上も、『こうした歴史的背景の反動』ともいえるでしょう」(同)
企業や自治体がさまざまな方法で宣伝活動を行い、大量のコンテンツがつくられる現状では、コンテンツ制作側はより奇抜な内容に走りがちだ。しかし、話題になることを優先するあまり、安易に女性向けCMをつくれば、所得や地位が高い男性たちの「正義感」を刺激して資生堂やルミネの二の舞いになりかねない。企業の宣伝活動にとっては、難しい時代になったといえそうだ。
(文=喜屋武良子/清談社)
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