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逆にワイモバイルからソフトバンクへの移行は手数料や解約料が免除される施策があり、優遇されている。つまりソフトバンクとしては、他キャリアのユーザー向けにはワイモバイルを薦める一方、高い料金を払ってくれるソフトバンクユーザーは手放したくないというわけだ。
この2ブランド体制に割って入ったのが、日本通信だ。これまでにもソフトバンク回線を利用するMVNOは存在したが、日本通信は独自の交渉により、SIMロックを解除することなくソフトバンクのiPhoneを使えるようにしたという。まさにソフトバンクのiPhoneユーザーを狙い撃ちにする格安SIMカードが登場することになる。
日本通信 代表取締役社長の福田尚久氏(2015年12月撮影)
これまでソフトバンクやKDDIのユーザーが格安スマホに乗り換える際には、ほとんどの場合は、端末を買い換える必要があり、障壁になっていた。ほかにもさまざまな理由により、ソフトバンクに不本意ながら高い料金を払い続けているユーザーは多く、潜在需要は高いと日本通信は見込む。
日本通信の鼻息は荒いが、こうした需要が多いことがわかれば、他の格安スマホ事業者も独自にソフトバンクと交渉を始めるかもしれない。日本通信の思惑通りに進むかどうかは未知数だが、これまで停滞していたソフトバンク回線を使ったMVNOの多様化に向けて、突破口を開いた点は評価すべきだろう。
MVNOへの移行が加速するなか、ソフトバンクの「対策」は?
MVNOの選択肢が増えれば価格やサービスの競争につながり、消費者にはメリットが大きい。一方、これまで巧妙な施策によりワイモバイルとの間でユーザーをコントロールしてきたソフトバンクにとって、優良顧客の流出が始まれば大きな痛手になる。
たしかにソフトバンクには日本通信から接続料収入が転がり込むため、売上が丸ごと消えるわけではない。だがソフトバンクの孫正義社長は、携帯電話事業を「キャッシュカウ」と位置付け、それを担保に融資を得ることで他企業を買収し、企業規模を拡大してきた。その肝心のコア事業の収益性が落ちてしまっては、これまでのように大風呂敷を広げることは不可能になる。
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