国内最大の免税店チェーン、ラオックスの株価が“爆買い”バブル以前の水準に逆戻りした。年明け1月19日には800円を付けていたが、2月22日の終値は647円。2016年7月1日に10株を1株に併合しており、株式併合前の株価でいえば100円割れとなる。
株価は14年5月19日に42円(株式併合後の修正値420円)と額面割れだったが、それを底に上昇。爆買い需要に沸いた15年7月24日には564円(同5640円)と上場来の最高値に急騰した。14年の安値から実に13.4倍。ラオックスは爆買い銘柄の代名詞となった。
だが、爆買いバブルが弾け、株価は元の水準まで下落。爆買いに乗って規模を拡大したため、その爪痕は深かった。そして案の定、赤字に転落した。
16年12月期の連結決算の売上高は前期比32%減の627億円、営業利益は9億円の赤字(前期は86億円の黒字)、最終損益は15億円の赤字(同81億円の黒字)となった。最終赤字は3期ぶりだ。円高や中国の関税強化で訪日客の購入価格が下がり、店舗の閉鎖や新規事業の縮小に伴い11億円の特別損失が発生したことも響いた。
売り上げの落ち込みは深刻だ。月次状況報告によると、売り上げ(全店ベース、12月末時点42店)が前年同月を上回ったのは16年1月のみ。同年2月以降、11カ月連続で前年同月の実績を割り込んだ。各月の前年同月比は、1月+27%、2月-11%、3月-1%、4月-26%、5月-44%、6月-49%、7月-44%、8月-53%、9月-55%、10月-46%、11月-37%、12月-28%となっている。
中国が関税を強化した4月以降、売り上げが激減したことがわかる。16年はすべての月で客単価が前年同月を下回った。平均購買単価は2万2344円で15年(3万3820円)から34%縮小した。特に月以降は2万円の大台割れが続く。爆買い特需に沸いた15年4月には4万円に迫っていたのだから、購買力は半分になった。
ラオックスでは訪日客向けの売れ筋商品が、炊飯器や腕時計といった高額品から単価の安い理容・美容家電や化粧品、医薬品に移ったと説明している。
中国の旅行会社が企画する団体ツアー客が集客の柱
ラオックスは09年8月、中国の大手家電量販店チェーン、蘇寧電器の傘下に入った。新しく就任した羅怡文(ら・いぶん)社長の方針で、中国人の団体旅行客向けの免税店へと業態の転換を進めてきた。