――その後の対応については。
東京ガス 東京都が「食の安全・安心」確保の観点から、市場用地としての安全性を高いレベルで確認するため、「豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議」の提言に基づき改めて法令を上回る詳細な調査を実施したところ、新たに操業由来の土壌汚染が確認されました。弊社は、自然由来を除いた土壌汚染は弊社の工場操業に由来するものと考え、市場が公益性の高い施設であることから、これまでの経緯を踏まえ、東京都との協議の結果、東京都が「豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事に関する技術会議」の提言に基づき実施した土壌汚染対策工事の費用の一部を負担いたしました。
【瑕疵担保責任は免責されたのか】
豊洲新市場の土地は、届け出義務のある土壌汚染対策法の「形質変更時要届出区域」であるが、汚染除去が求められる「要措置区域」ではないことから、地下水の水質調査や汚染除去が義務付けられているわけではない。
それでも東京ガスは土地を引き渡す前に行った調査に2億円、2001年2月から7月までの間に土壌汚染対策として100億円、その後専門家会議の提言にもとづき、78億円を拠出したという。
土壌汚染の除去は東京ガスと都庁との合意のなかで自主的に行われてきたことだ。小池百合子都知事は1月20日の記者会見で「豊洲新市場は、高濃度の土壌汚染の実態がわかっていて、11年の3月の時点では、土壌汚染対策費用の額が、全体で586億円とすでに見込まれていたにもかかわらず、新規の用地購入の契約に当たって、知事の裁量権の範囲を超える土壌汚染対策費を適正に見込まない価格で売買契約を締結した」「将来にわたって瑕疵担保責任の免責が行われている」点を指摘し、問題視している。
しかし瑕疵担保責任とは、「売買などの契約で、契約の目的物に隠れた欠陥があった場合、売り主などが負う担保責任」(「大辞林」より)を指す。事前に土壌汚染の調査報告があるにもかかわらず、瑕疵があったといえるのか、あるいは瑕疵担保責任について事前の当事者間の取り決めがあったのか。
「私どもが調査した後に東京都が詳細調査をしたところ、私たちの調査では確認できなかった高い濃度の汚染が発見されたので、東京都と話し合い、追加の負担をしたのです」(東京ガス広報担当者)
これを瑕疵とよぶのか、呼ばないのか。仮に瑕疵がないとすると、どこから瑕疵担保責任という話が出てきたのか。「食の安心安全」の問題とともに、今後の大きな争点となることだろう。単なる政争の愚にだけはしてもらいたくない。
(構成=松崎隆司/経済ジャーナリスト)