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懸念材料も
こうした状況を受け、ヤマシンの業績は拡大基調にある。17年3月期の売上高は99億5000万円(前期比5%増)、営業利益は8億8000万円(同2.1倍)の見通しだ。営業利益は当初、3億4400万円(同16%減)の計画だった。第2四半期時点で7億8000万円に増額し、第3四半期時点でさらに上方修正となった。主に中国での案件増加が要因だ。18年3月期も勢いは衰えず、営業利益は初の10億円乗せが有力視される。
だが、懸念材料もある。それはトランプ大統領が「アメリカ・ファースト」(米国第一)政策を打ち出し、メーカーに自国での生産を求めている点だ。ヤマシンではキャタピラーなど米国向けには、フィリピンで生産したフィルタを納入している。米国でつくる必要に迫られる可能性も否定できない。これについて、同社幹部は「キャタピラーから、米国にあるフィルタメーカーを買収しないか」と内々に打診されていることを明らかにしている。それほど、ヤマシン製品に対する信頼度が高い証しともいえる。ただ、単純にM&Aすれば良いという話ではない。高い品質が維持できるかなどの課題はある。
また、IoT(モノのインターネット)への取り組みも積極的だ。現状、フィルタの交換時期は建機の稼働時間などでおおむね決められてきている。ただ、炎天下や寒冷地などでの差や、連続稼動時間によってもフィルタの寿命は変化する。そこで同社では、フィルタにセンサーを付けて、交換時期を顧客に知らせるシステムを開発した。現在、実機を使った試験を行っており、実用化が迫っているという。
リーマン・ショックのような世界同時の景気後退リスクを除けば、日本のフィルタメーカーの躍進が続きそうだ。
(文=和島英樹/ラジオNIKKEI 記者)
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