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役員報酬1億円以上が最多の意外なあの企業…不振事業は即切り捨て、常に非情な構造改革

文=編集部
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役員報酬1億円以上が最多の意外なあの企業…不振事業は即切り捨て、常に非情な構造改革の画像1「Thinkstock」より

 山西健一郎・三菱電機取締役会長が日本経済団体連合会(経団連)の副会長に就任する。5月31日の定時総会で就任の予定だ。三菱電機出身の経団連副会長は北岡隆氏以来、20年ぶりとなる。

 三菱電機は「ほかのエレクトロニクスメーカーに比べれば規模は小さいが、業績は良い」(経団連の元副会長)。

 総合電機業界は、日立製作所、東芝、三菱電機という序列だったが、東芝が沈没して、今や日立と三菱電機の2強になった。

 三菱電機は2017年3月期の連結業績(米国会計基準)予想を上方修正した。売上高は前期比4%減の4兆2000億円、営業利益は15%減の2550億円と、従来予想をそれぞれ500億円、50億円増額した。純利益は17%減の1900億円で、こちらも従来予想を50億円上回る。

 ドルや新興国通貨に対する円高が痛手で最終減益となるが、工場のFA(ファクトリーオートメーション)機器と電子デバイスの2部門は好調だ。

 主力の産業メカトロニクスの利益は1350億円で前期比15%減だが、従来予想より100億円改善する。電子デバイスの利益も20億円上方修正した。

 かつて電機業界の牽引役となったのは、テレビを中心とする消費者向け家電製品だった。しかし、デジタル化に伴い、テレビなどの価格が急落。2000年代初頭、電機大手各社は「選択と集中」に乗り出した。

 三菱電機は03年、半導体のシステムLSIをルネサステクノロジ(現・ルネサスエレクトロニクス)に、DRAMをエルピーダメモリ(現・マイクロンメモリジャパン)に譲渡。08年までに携帯電話と洗濯機事業から撤退。02年から08年までに6000億円規模の事業を整理した。

 08年のリーマン・ショック後の決算では、大手が軒並み大赤字を出すなか、三菱電機は最終黒字を確保した。構造改革の手を緩めず、08年度以降も合計1600億円規模の事業を本体から切り離し、13年までにテレビや液晶モニターからも撤退した。

役員報酬1億以上が23人

 一連の構造改革により、高収益事業が残った。稼ぎ頭となったのがFAと自動車用機器で構成する産業エレクトロニクス部門だ。特に、FA事業は国内の自動化の更新需要の増加に加え、中国のスマートフォンメーカーが高付加価値機種へ生産シフトしたことで、需要は拡大した。FA「シーケンサ」は、世界シェアの20%近くを握る。

 三菱電機は電機大手のなかで、収益力が抜群に良い。「FAの三菱電機」と呼ばれるゆえんだ。地味だった三菱電機が存在感を増し、三菱グループのなかでも異彩を放っている。

 FAに牽引され、17年3月期の最終利益1900億円は08年3月期の1579億円を上回る。エレクトロニクス業界で、リーマン・ショック前の利益を上回っている数少ない会社だ。

 高い収益力を背景に、執行役以上の全員が報酬1億円以上だ。16年3月期決算企業のなかで役員報酬額1億円以上の役員数は、三菱電機が23人(前年も23人)で最多だった。幹部から若手まで、“働けば報われる”という意識が高いのは間違いない。

 三菱電機は21年3月期に売上高5兆円、営業利益率8%という高い目標を掲げる。目標を達成するためには、M&A(合併・買収)が不可欠だ。M&Aに消極的とみられてきた三菱電機が、いつM&Aに乗り出すかに関心が高まる。
(文=編集部)

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