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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第7回 村上清貴氏(村上農園社長)後編

豆苗で世界を制す!地方の一農業ベンチャー・村上農園が海外展開加速…世界一の技術確立へ

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家
豆苗で世界を制す!地方の一農業ベンチャー・村上農園が海外展開加速…世界一の技術確立への画像1村上清貴(むらかみ・きよたか)株式会社村上農園 代表取締役社長。1960年、山口県生まれ。広島大学総合科学部卒業後、83年にリクルートに入社。法人営業担当後、88年にリクルート映像に異動し、営業課長、マーケティング企画課長などを経験。93年に村上農園に入社。07年より現職。

 村上農園は2017年、売上高100億円を目指す農業ベンチャーの勝ち組だ。しかし、国内は少子高齢化と同時に人口減少が進む。国内野菜市場は、生産額ベースで約2兆円といわれるが、今後、大幅な市場拡大は見込めないばかりか、縮小傾向にある。厳しい環境下で、成長戦略をいかに描くのか。

 村上農園社長の村上清貴氏は、2035年に売上高1000億円という高いビジョンを掲げる。国内における新市場創出と併せて、海外市場進出を進める。気候など自然環境はもちろん、食文化の大きく異なる海外市場への挑戦は、簡単ではない。いかにして海外へ打って出るのか。村上氏に成長戦略を聞いた。

オランダの世界最先端企業と提携

片山修(以下、片山) 国内は人口減少が進むなか、農業ビジネスの成長戦略は、いまや海外展開なしに描けません。世界の農業に目を向けると、今、世界最先端の農業国といわれるのがオランダです。九州とほぼ同じ面積の国土の45%が農用地で農作物輸出額は米国に次ぐ世界2位。オランダをどう見ていますか。

村上清貴氏(以下、村上) オランダをたびたび訪問して感じるのは、農業に先端技術を応用し、世界最高水準の生産性を実現していることです。日本の農業が「遅れた産業」と捉えられがちなのに対し、オランダでは農業分野こそ最先端分野なんです。事実、センサーやロボットが多用されていますからね。

 オランダは、米国やオーストラリアのように広大な土地を利用した大規模農業には適しません。国土が狭いうえ、干拓地で土壌が悪い。寒冷で日照時間も短く、農業には悪条件がそろっている。しかし、オランダのすごいところは、デメリットを工夫して有利になるように変えてしまったことです。つまり、大規模化より植物工場やハウスを使うほうが得策だと気づき、実行している。

片山 オランダ同様、国土も耕作面積も狭い日本は、オランダを手本にできますね。日本の農業は国の保護を受けてきた結果、ビジネスの視点に欠けている。さらに、国内競争に終始し、海外に目を向けてこなかった。グローバル競争を勝ち抜いているオランダには、ベンチマークすべきモデルがありますね。

 村上農園は14年、「マイクロ・ベジタブル」と呼ばれる“ツマモノ野菜”を手掛ける、オランダのコッパート・クレス社と提携しました。狙いはなんですか。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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