だが、そうそうたるメンバーが来たからといって、ユニー・ファミマの経営がうまくソフトランディングできるという保証はない。
伊藤忠の食料カンパニーのプレジデントには、4月1日付で繊維部門出身の久保洋三常務執行役員が就く。久保氏は14年に買収したエドウィンを再建した実績がある。現在、伊藤忠は果物事業子会社ドールなどを通し、ブランド食品の販売に力を入れている。久保氏は繊維のノウハウを食料部門に移植することになる。
三菱商事と伊藤忠商事のデッドヒート
大手商社は利益の首位の座をめぐり、デッドヒートを繰り広げている。2016年3月期は資源分野で巨額減損を計上した三菱商事が16年ぶりに首位から陥落。資源以外に注力した伊藤忠が初めてトップに躍り出た。
17年3月期の最終利益は、三菱商事が二度の上方修正を経て、4400億円の最終黒字に転換しそうだ。首位を奪還する可能性が高い。伊藤忠は食料などの非資源が好調で3500億円を確保する見通しだ。
三菱商事は計1440億円を投じローソンを子会社にした。ローソンの竹増貞信社長は「2020年までに海外の店舗数を5000店(現在は1140店、1月末現在)に引き上げ、中国では3000店体制を敷く」と表明した。
一方、伊藤忠は中国への投資を非資源事業の成長の柱と位置付けている。タイ最大級の財閥であるチャロン・ポカパン(CP)グループと14年7月に資本提携した。伊藤忠とCPグループは、15年、中国の国有複合企業、中国中信集団(CITIC)の中核会社に1兆2000億円を折半出資した。CITICは米国の投資ファンドと一緒に今年1月、米マクドナルドの中国・香港事業を買収し、個人消費の分野に進出した。
67歳の岡藤氏は、社長就任8年目に入る。17年3月期決算で利益トップの座を三菱商事に明け渡すことが確実となった以上、再びトップの座を奪還するまで社長を続投するとの見方が有力だ。社長をやれるのは、長くてあと2年だろう。18年3月期決算の見通しがついた段階で社長から代表権を持った会長になるとすれば、「ポスト岡藤」の候補は現在、マスコミ辞令が出ている4人ではなくなる。その次の年次に若返りを図る可能性が高い。
ポスト岡藤の4人のトップを走るのは、ナンバー2で経営企画担当のCSO(最高戦略責任者)の岡本均専務。岡本氏はCP・CITIC戦略室長を兼務する。岡藤氏に忠誠を誓っている4人だが、来年に社長交代がズレ込むとすると、微妙な立場になるかもしれない。
岡藤氏がいつ社長を辞めるかが、伊藤忠グループにとって最大の経営課題となった。18年3月期は伊藤忠、住友商事、丸紅の社長交代が予想される。三井物産も約30%の確率で社長交代がありそうだ。
(文=編集部)