内部統制の不備は、WHによる米原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスターの買収にかかわるもので、そのことによって巨額損失が出た。
「決算数値にも誤りがあるとか、過年度の数字を修正する必要があるのではないかなど、そういう部分を問題にしているのだと思います。原則論としては内部統制の積極的な評価はレビューの対象外であり、東芝からすればWHは全体の一部ですが、そこが最大のリスクだと誰が見てもわかっている以上、現実問題としてはそこを抜きにレビューすることはできないということになっていると思います」
では、東芝は上場廃止になるのだろうか。
「上場廃止の危険性はあります。本来、四半期報告は当該期末から45日以内に発表しなければならない。その期限は、最初に設定されていた2月14日です。それは東証の上場廃止規定に明文化されています。ただ、金融庁が延長を認めた場合はその限りではないという規定もある。その場合は延長の期間も回数も明確な規定はありません。なぜかといえば、何回も延長するという事態を誰も想定してなかったからです」
上場廃止が回避されているのは、なぜなのか。
「たとえば日本航空(JAL)は、人員整理して、銀行に債権放棄してもらうなどいろいろありましたが、経営破綻したところから復活しました。そういう会社に比べたら、上場廃止なんてはるかにましだと思います。でも、国はすごく東芝の上場維持にこだわっているようにみえる。理由はよくわかりません。まったくの推測ですが、原発に関しては国も負い目もあり、半導体も国防にかかわるから、そういうところで必要以上の救済をしているのかなとも思いますね」
東芝にも、近頃はやりの“忖度”がされているということなのか。漂流する東芝はどこに行くのであろうか。
(文=深笛義也/ライター)