3月21日に国土交通省から発表された「地価公示」によると、住宅地、商業地ともに堅調に推移し、全国平均では住宅地で下げ止まり、商業地では2年連続で上昇傾向が続いています。背景としては、住宅地においては継続する低金利の環境と住宅ローン減税等による需要の下支えがあり、商業地では不動産需要そのものが旺盛であったとされています。
そうした不動産市況のなか、不動産投資市場も引き続き活況です。背景としては、2015年に相続税が実質増税となる改正となったことに加え、アパートローンなどの不動産融資が低金利であることが大きな要因となっています。
昨今、やや増えすぎた感のあるアパートローンの残高に対して、日本銀行や金融庁が警戒しているとの見方が一昨年末ぐらいから広まっています。その一方で、アパートは担保が取りやすいうえに、アパート経営者は人的に信頼できる方が多いとの背景もあり、銀行のアパートローンに対する融資は引き続き緩い状態が続くとみられています。したがって、まだしばらく賃貸住宅が増える傾向は続いていくでしょう。
しかし、すでに日本の人口は減少傾向に入っており、急増する賃貸住宅は必然的に激しい入居者獲得競争のなかで運営しなければならない状況にあり、不動産投資をする上では、こうした状況をきちんと理解しておかなければなりません。
不動産投資の注意点
そこで今回は、不動産投資を始めるうえでの注意点を2つ挙げてみます。
(1)不動産投資では、購入した時点が収益のピーク
不動産投資では、1室のマンション(区分マンション)から1棟物件まで幅広く投資の対象となりますが、どんな物件でも共通していることがあります。それは、以下の2点です
A.建物の築年数の経過とともに、賃料が下がっていく
B.建物の築年数の経過とともに、修繕費が増えていく
Aは、新築時がもっとも賃料が高く、築年数が古くなるに従って賃料が下がっていきます。つまり、収入は少しずつ減っていくということです。なかには、周辺に急激に競合物件が増え、賃料が大幅に下がるということもあります。
またBは、建物や設備は劣化していくため、補修や交換といった修繕が必要となり、年々修繕費用は嵩んできます。つまり、支出が増えていくということです。屋根や外壁といった部分を含む大規模修繕では、高額な修繕費が一時的に必要になります。
したがって、築年数が古くなればなるほど収入が減り支出が増えていくのです。新築で購入しても中古で購入しても、建て替えをするまでこの傾向は続きます。不動産投資は購入時点が収益のピークで、以降は収支が悪くなっていくという前提で考えなければならないのです。