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総合スーパーが次々ドンキに…ファミマと新型共同店舗展開に潜む「野望」

文=編集部

質的に変化したインバウンド消費が追い風

 ドンキの業績は好調だ。17年6月期の連結決算(日本会計基準)の売上高は前期比8%増の8220億円、営業利益は5%増の455億円、純利益は6%増の315億円を見込む。純利益は従来予想(275億円)を上回り、初めて300億円の大台を突破する。増収、営業増益は上場前から28期連続になる。百貨店や総合スーパーなど流通大手の業績が低迷するなか、ドンキは一人勝ちの構図だ。

 インバウンド(訪日観光客)消費の変化が追い風になった。“爆買い”の聖地といわれたラオックス三越伊勢丹ホールディングスは、インバウンド消費の急減速に見舞われたが、ドンキは逆にインバウンド消費が業績を押し上げた。

 主力の総合ディスカウントストア、ドン・キホーテの免税店売上高は370億円程度と、前期に比べて2割増える見込み。爆買いの本尊だった高級腕時計や宝飾品の販売は激減したが、化粧品や医薬品、食品などは別で、観光客は価格の安いドン・キホーテで買っている。

 特に、百貨店が営業を終えた夜間が好調で、訪日外国人客全体の5割は午後8時~翌午前1時に訪れる。ドンキの店は訪日観光客が一度は足を運ぶ定番店なのだ。

買収した長崎屋を業態転換したMEGAドン・キホーテ

 ドンキは07年、再建中の中堅総合スーパー、長崎屋を140億円で買収した。長崎屋の店舗をディスカウント店のノウハウを導入して業態転換、「MEGAドン・キホーテ」として市場に投入した。長崎屋四街道店をMEGAドンキ四街道店に店替えしたのを皮切りに、総合スーパーを次々に大型ディスカウント店へ転換した。

 今年5月には、MEGAドンキ渋谷本店がオープンした。フロア構成は地下1階~地上6階の7フロア、売場面積は5522平方メートルの大型店で、都心部の旗艦店だ。目玉は「お土産コーナー」。東京だけでなく、大阪・博多・広島・札幌のお土産を取り揃えている。訪日観光客をターゲットにしたつくりだ。

 普通のMEGAドンキは郊外を中心に展開する小型店で、生鮮食品も扱う。低価格志向のMEGAドンキは、総合スーパーから業態転換した成功モデルとなっており、総合スーパーやホームセンターから客を奪った。

 ドンキは、ユニーのGMSをMEGAドンキへ転換することを提案するとみられている。両社が合弁会社を設立してユニーのGMS事業を譲渡し、MEGAドンキとして運営する可能性もある。

 ユニー・ファミマにとって、コンビニの海外展開を積極的に進めるためにも、お荷物のGMSを切り離してコンビニに専念できればメリットは大きい。一方、ドンキは、ユニーのGMSを確保できる。

 さらに、ドンキはもっと先を読んでいるようだ。コンビニとディスカウントストアを融合した新しい店舗の開発を提案する。ファミマ+ドン・キホーテの新しい店を共同で運営するという。

 ユニー・ファミマの首脳陣は、ディスカウントストアのノウハウを吸収できるとして提携に前向きといわれるが、ドンキのほうが一枚上手だ。ドンキはファミマと一体化した店づくりを通してコンビニの営業ノウハウを徹底的に学び取り、次に独立系の中堅コンビニを吸収してコンビニ事業へ本格参入することを狙っているとみられる。

 ユニー・ファミマは、ドンキにひさしを貸して母屋を取られるような事態にもなり得る。
(文=編集部)

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