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タカタ破綻、中国系企業が優良事業を買い叩き…ついに自動車会社にも見捨てられる

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 外部専門委員会は、タカタの経営再建に向けたスポンサーとしてエアバッグなどの大手オートリブなども検討してきたものの、独禁法当局からの承認に時間を要することもあって除外。結果的にスポンサーとして米国のキー・セイフティー・システムズ(KSS)の推薦を決めた。しかし、ここから迷走が始まる。

創業家が最大の障害に

 KSSの親会社が中国の寧波均勝電子で、一部の自動車メーカーが「中国系企業への技術流出」を懸念して強く反発。「これまで取引がない」ことを理由に拒む声や、KSSの企業規模がタカタと比べてあまりに小さいことからスムーズな事業譲渡を不安視する声もあった。タカタの高田会長は「事業譲渡後も引き続き部品を安定的に発注することを重視して交渉してきたが、自動車メーカーの考え方がかなり違って、意思統一が難しかった」と、経営再建策の策定までに時間がかかった理由を説明する。

 ただ、タカタの経営再建策の策定でもっとも大きな障害となったのは、高田会長をはじめとする創業家の意向だ。約6割の株式を保有する創業家は、経営陣に残ることができて株式も「紙切れ」にはならない私的整理を強く求めていた。

 これに対してスポンサーとなるKSSは、法的整理を前提としていた。タカタは欠陥エアバッグに関して、消費者などから損害賠償請求を求めて複数の訴訟を抱えている。裁判所の管理下で債務を確定して処理を進めなければ、KSSがスポンサーとなった後も新たな債務が膨らむ可能性があるからだ。タカタの経営再建に伴って巨額の債権放棄を迫られる自動車メーカーの一部も、私的整理で債権を放棄した場合「株主に説明できない」ことや、エアバッグ問題の責任を明確にする上でも法的整理を強く求めていた。

「部品の安定供給」を名目に私的整理を強く求めるタカタ創業家によって、経営再建策の策定は完全に行き詰まった。

自動車メーカーの「揺さぶり」

 これに業を煮やしたのが「タカタ問題の解決をこれ以上引き延ばしたくない」と考えた金融機関と一部自動車メーカーだ。

 関係者はタカタが追い込まれつつあることはわかっていた。というのもタカタは今年1月、米国司法省とエアバッグ関連の罰金などで合意、このなかで18年2月27日までにエアバッグ関連の補償基金8億50000万ドル(約940億円)を拠出しなければならなかった。そしてこの資金を確保するために、当局の審査期間を考慮しても今年7月ごろまでにスポンサーと最終合意して事業売却の資金を確保する必要があった。

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