カジノ誘致に水を差す事態
そんなカジノ開設に躍起になっている大阪だが、カジノ誘致に水を差す事態が起き始めている。それが、増え続ける訪日外国人観光客だ。
昨年、年間の訪日外国人観光客数は2000万人を突破した。政府は、これまでの目標として2020年までに2000万人としてきたから、かなり速いペースで達成したことになる。そのため、政府は20年の目標を4000万人と上方修正。目標の数字を倍に引き上げたことは、一見すると無謀にも思える。しかし、観光業界関係者たちからは現在の訪日外国人観光客の勢いを考えると、これらもやすやすとクリアしてしまうだろうという楽観論が蔓延している。
そんな爆発的に急増する訪日外国人観光客でもっとも経済的な恩恵を受けているのが、ほかならぬ大阪なのだ。
これまでの訪日外国人観光客は、東京や京都といった都市に集中してきた。一時期、話題になった中国人の“爆買い”も、その恩恵を受けたのは東京ばかりだった。ゴールデンルートと呼ばれる東京―大阪間でも、大阪は関空利用だけの素通りされる都市などとも揶揄されていた。ところが訪日外国人観光客のリピーターが増えるようになると、外国人観光客は東京・京都以外の都市にも足を向けるようになる。
特に大阪は京都・神戸・奈良という観光都市にも日帰りできる地の利があり、年を追うごとに訪日外国人観光客は増加。16年度、大阪府を訪れた外国人観光客は約941万人にも及んだ。まさに、日本を訪れる外国人観光客の約2分の1が大阪を訪れている計算になる。前年度に大阪を訪れた訪日外国人観光客が約716万人であることを考えると、驚異的な伸び率だといえるだろう。
さらに、前述したように大阪は京都・神戸・奈良といった観光地からも日帰り圏にあるため、外国人観光客がベースにする都市として長期滞在することも珍しくない。そうした背景もあって、外国人観光客が大阪で消費する金額はかなり大きくなっている。
また、長期宿泊する外国人観光客が増えてきたことに伴い、訪日外国人観光客の間では大阪の食文化や大衆演芸などが注目されるようになった。こうした背景から、大阪は外国人観光客が訪れたい都市として人気が急上昇している。