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薄れる巨額投資の必要性
こうなってくると、大阪経済の起爆剤として期待されてきたカジノはかえって邪魔になるとの意見も囁かれるようになった。ある観光業界関係者は、こう話す。
「カジノは経済的恩恵というメリットがある一方で、治安の悪化や交通渋滞といったデメリットもある。これまでの大阪は、観光面で京都に勝てないから外国人観光客を呼び込むにはカジノに頼らざるを得なかった。しかし、今は違う。わざわざ莫大な建設費を投じてまでカジノに頼る必要は感じられない」
現在、大阪府や維新はカジノを大阪市の西端にある人工島・夢洲に整備する予定にしている。夢洲は埋立地のため、電気・ガス・上下水道・道路・鉄道といったインフラの整備が必要になる。カジノそのものの建設費も莫大になるだろうが、これら周辺のインフラ整備にも多額の建設費を投じることになる。そこまで税金を投じて、カジノをつくる必要はあるのだろうかという疑問が出てくることは、自然な流れだろう。
「今でも、大阪のホテル・旅館はパンク寸前です。大阪にカジノが開設されると、さらに観光客が増えるでしょう。そうなったら、完全に大阪の宿泊業はキャパオーバーになる。過度な集中によって、売り逃しをしてしまう。それでは、せっかくカジノをつくって外国人観光客を誘致する意味がありません。地方にカジノを開設したほうが効率的ですし、観光地のバラエティが富んでいるほうが、外国人観光客のリピーターを増やすことにもつながります」(前出・観光業界関係者)
外国人観光客の急増によって経済が活性化した大阪。そんなうれしい現象は、逆にカジノを遠ざけるという皮肉な方向に向かいつつある。カジノ実現に力を入れていた大阪府と維新は、政策転換を迫られることになるかもしれない。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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