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働く人は地獄のブライダル業界…ナシ婚増加でジリ貧、ハウスウェディングもブーム終了

文=鉾木雄哉/清談社
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働く人は地獄のブライダル業界…ナシ婚増加でジリ貧、ハウスウェディングもブーム終了の画像1「Thinkstock」より

 5月に秋篠宮家の長女・眞子さまの婚約が発表されると、その影響からブライダル関連企業の株価が上昇。その経済効果は、500~1000億円に上ると試算された。

 矢野経済研究所が3月に公表した調査によると、ブライダル関連業の市場規模は2011年から縮小し続けており、関連各社は今回の「眞子さま効果」に大きな期待を寄せている。

 ブライダル産業の経営事情に詳しい千葉商科大学の今井重男教授は、「少子化によって婚姻数が減少しているだけでなく、ゴールインしても結婚式に費用をかけない『ジミ婚』や、結婚式そのものを行わない『ナシ婚』を選択する人々も増加しているので、ブライダル業界はジリ貧状態に陥っています」と、その衰退ぶりを嘆く。

ブラック化するブライダル業界、土日も深夜まで

 それでも、ブライダル業界では新規参入が相次いでいる。公正取引委員会が3月に公表した「ブライダルの取引に関する実態調査報告書」によると「直近10年の間、営業地域内に新規参入があった」と答えた業者は76.1%。そのうち、異業種からの参入が19.9%に上ると報告されている。

「ブライダル産業には、参入障壁となるような法制度も必要な国家資格もありません。そのため、レストランが店をウェディング会場として開放したり、旅行会社がリゾートウェディングをプロデュースしたりするなど、異業種からの参入が多いという特徴があります。こうした異業種からの新規参入は、江戸時代から見られる、我が国の伝統的な傾向といえるでしょう」(今井氏)

 さらに、市場を圧倒する“ガリバー企業”が存在しないことも特徴的だ。ウェディングサービスを提供しているエスクリが15年に公表した決算説明用資料によると、ブライダル業界で売上高上位5社による市場占有率は14.5%。ファミリーレストラン市場の52%と比べると、圧倒的なシェアを持つ企業が少なく、多数の中小企業がひしめき合っていることがわかる。

「結婚式場を過剰出店した企業は、経営が悪化しています。ホテルの場合、ウェディング事業といっても数ある部門のひとつですが、ブライダル専門の企業は基本的に結婚式でしか儲けることができないので、より厳しい状況になっているでしょうね」(同)

 特に景気が悪化しているのが“結婚プロデュース会社”だという。ヨーロッパの邸宅風の一軒家を貸し切ってハウスウェディングを行うスタイルで躍進した同業態だが、現在は供給過多で飽和状態。リクルートマーケティングパートナーズの「ゼクシィ結婚トレンド調査 2016」によると、披露宴・披露パーティーでハウスウェディングのシェアは16.0%。12年の同調査と比べて、7.3ポイントも減少している。

 中小の業者がひしめき合って過当競争が起きている業界は、当然のようにブラック化していく。ブライダル会社に勤務していた森田亘さん(仮名)は、当時の過酷な労働環境について、以下のように語ってくれた。

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