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楽天、巨額投資の海外展開が失敗…各国から撤退の嵐でも、FCバルセロナと286億円で契約

文=編集部

ロゴを「楽天」から「Rakuten」に変更

 バルセロナは新しいスポンサーを探していたが、中国のアリババか米国のアマゾン・ドット・コムが有力候補といわれており、楽天は下馬評にも上がらなかった。

 だが、破格の契約金で楽天が大逆転した。4年契約で、1年延長のオプション付き。金額は年間5500万ユーロ(約71億5000万円)。17年シーズンから4年間にわたってユニフォームの胸の部分に「Rakuten」の文字が入る。契約金は総額で2億2000万ユーロ(約286億円)に上り、サッカー史上最高のスポンサー契約だ。プロ野球チーム・東北楽天ゴールデンイーグルスに、16年度に投じた年俸総額が17億2444万円(支配下選手61人分)だったことを考えても、破格といえる。

 楽天はバルセロナのユニフォームの胸に「Rakuten」を入れることを機に、ロゴマークも一新する。世界を見据え、漢字の「楽天」から「Rakuten」に変更し、楽天カードも「FCバルセロナ公式クレジットカード」をこの秋から発行する予定だ。

 年間で約71億円という巨費は、楽天の広告・販促費全体(16年12月期)の6%に相当する。同期の営業利益が779億円だった楽天にとって財務的負担は小さくない。「Rakuten」ブランドを世界に浸透させるのが狙いだが、苦戦が続いてきた海外事業への効果は未知数だ。

 インターネット通信販売の「楽天市場」で創業した楽天は10年以降、電子書籍販売のカナダのコボ、ネット通販大手の米イーベイツなど、海外で大型買収を繰り返してきた。12年には英語を社内の公用語にした。投資額は主だったものだけでも4000億円に迫る。

 三木谷氏は14年に6%程度だった売上高の海外比率を「2020年に50%」まで引き上げることを目指すと宣言した。だが、それとは裏腹に16年に英国、スペイン、オーストリアの欧州3カ国のネット通販サイトを閉鎖した。東南アジアでも、インドネシアとシンガポール、マレーシアで通販サイトを閉鎖。個人がネット上で中古品を売買するフリーマーケット事業に転換した。

 海外ではネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムに敗北。全体に占める海外売上高比率を50%に引き上げる計画は頓挫した。

 海外に再挑戦する切り札に「Rakuten」のロゴを使う戦略だが、バルセロナとのパートナー契約は、海外事業がうまくいかない焦りの表れと見る向きが多い。

 三木谷氏は記者会見で「投資回収は十分にできる」と強調した。だが、海外事業で、目に見えるかたちで成果を上げなければ、株主は三木谷氏の“お遊び”を絶対に許さないだろう。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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