コンビニ研究家・田矢信二氏は、このバル風コンビニをこう分析
バル風コンビニの第一人者であるミニストップの「シスカ」は、広範囲での全国展開を目指す出店戦略ではなく、立地をある程度限定することで、結果的にプレミアム感を演出でき、コンビニ感を消すことで逆に、消費者に価値を生み出していると私は分析します。
私自身も初めて来店した時は、「本当に、ここコンビニ? 飲食店じゃないの? ものすごいオシャレ感があるなぁ~」と衝撃を受けました。売場には、ビールやワインの品揃えも既存コンビニにはない充実感がありました。そして、お酒に合う缶詰なども多数揃えられており、夕夜間の働く人たちのニーズに対応できるオアシスになる印象を持ちました。特に、女性客の入りやすさがランチ需要も獲得しているのではないかと予測ができるほどです。
小売業態でありながら、これだけうまく飲食業態の“飲み動機”をサービス・接客にも取り入れているのは、さすがだと思いました。こういった新業態発想ができたのも、1号店からイートインがある店舗だったのが、大きな理由だったのだと予測します。
最近のコンビニの流れは、3つのキーワードが成長戦略の中心です。1つめは、女性の社会進出。2つめは、健康志向・高齢化社会。3つめが、一人暮らしの増加です。
そういった時代背景からコンビニのイートインで食べる「イートイン食」のニーズが高まってきています。ちょうど外食と内食の中間で、今後の日本人の生活を大きく変えるかもしれないポテンシャルを持つのが“コンビニ・イートイン”なのです。
近い未来、家での食事回数がほとんどなくなり、コンビニで“1日3食”食べるのが当たり前になる日が訪れるかもしれませんね。
もう、現場でも「売場=商品を置く場所」という従来型の発想ではなく、「イートイン=食べて宣伝・口コミをしてくれる場所、新しい“ついで買い”が生まれる場所」と認識する考え方は、商売に必要不可欠になってきています。
最後に、生ビールを注げるサーバーを併設する店舗を、ファミリーマートや東京中心に出店する駅ナカコンビニのニューディズで見かけたことがあります。一部を独自進化させ、一点突破型で全国展開モデルになる日も近いかもしれませんね。その時は、「和風」なのか「洋風」なのかを“明確に消費者にアプローチする店舗設計”をすることで、従来型のコンビニにはないブランドカラーを出す必要性があると私は感じています。
(文=編集部、協力=田矢信二/コンビニ研究家)
●田矢信二(たや・しんじ)/コンビニ研究家
セブンイレブンとローソンでの現場経験を活かし、出店調査・顧客満足度&従業員満足度調査・インバウンド調査等に関わり、企業講演・セミナーなどにも呼ばれる。最近では、中国企業や大手コンビニが集結したコンビニ業界特化型セミナーなどで講演。独自の情報をブログで発信。その口コミが評判で、テレビ・ラジオなどにもメディア出演。
代表著書『セブン-イレブン流98%のアルバイトが商売人に変わるノート』『ローソン流 アルバイトが商売人に育つ勉強会』。調査徹底企業の株式会社サーベイリサーチセンター所属。