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一瞬で首位陥落の伊藤忠、三井物産の「隠し玉」で3位転落の危機…壮絶な2位争い

文=編集部
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一瞬で首位陥落の伊藤忠、三井物産の「隠し玉」で3位転落の危機…壮絶な2位争いの画像1伊藤忠商事・東京本社(撮影=編集部)

 三井物産は2018年3月期に890億円の特別利益を計上する。ブラジルの資源大手、ヴァーレのグループ内再編に伴い、保有する株式の評価替えをするため、巨額の利益が発生する。

 18年3月期の最終利益は前期比4.5%増の3200億円を見込んでいるが、保有するヴァーレの持ち株会社の株式がヴァーレ株に変わったため、評価益が出る。しかし、この利益を17年3月期の決算発表の時点では織り込んでいない。単純計算すると、最終利益は4090億円となり、伊藤忠商事の4000億円を上回る。

 三井は03年、ヴァーレの持ち株会社ヴァーレパルに出資して15%を保有、持分法適用会社としてきた。ヴァーレの再編で持ち株会社が事業会社に吸収され、三井の持ち株はヴァーレパルからヴァーレに変わった。
 
 今後はヴァーレ株を5.49%保有することになる。持ち分法適用会社から外れ、損益への影響は配当収入だけとなる。

 では、18年3月期の総合商社順位はどうなるのか。各社とも増益を予想している。また、いずれも市況変動に大きく左右される資源に頼らない体制をつくるために、非資源ビジネスを強化するという。

【総合商社5社の18年3月期連結最終利益の当初予想】

三菱商事…4500億円(2.2%増)
伊藤忠商事…4000億円(13.6%増)
三井物産…3200億円(4.5%増)
住友商事…2300億円(34.6%増)
丸紅…1700億円(9.4%増)

 伊藤忠の、初の「利益ナンバー1」は16年3月期だけの“一日天下”に終わったが、さらなる成長を遂げ、再び三菱に迫ることができるのだろうか。岡藤正広社長は中期経営計画の最終年度にあたる18年3月期に、公約通り4000億円の最高益に挑む。

「利益4000億円は(三菱商事との)商社2強時代にふさわしい水準だ」

 17年5月2日に記者会見した岡藤社長は、自信たっぷりにこう語った。だが、今期の最終利益4500億円を目標とする三菱は17年3月期より98億円しか利益を増やしていない計算になる。対する伊藤忠は478億円利益を増やすとしており、実現は簡単ではない。

 三井の当初予想は139億円増やして3200億円だが、ヴァーレ株式の評価替えをすることで890億円利益が増えると、8月15日に“隠し球”を公表したわけだ。

 三菱はローソンを子会社にした。これに対し伊藤忠は、ユニー・ファミリーマートホールディングスの筆頭株主ではあるが、子会社にしない方針だ。流通の川下戦略でも三菱と伊藤忠は明らかに違う。株価で見ると、伊藤忠が8月7日に1787円をつけ上場来高値(2015年6月の1756円)を更新した。8月17日の終値は1744円だ。

 一方、三菱の17日の終値は、年初来高値(2月2日の2705.5円)より6%安い2540円。三井も年初来高値は3月1日の1753円。17日はこの水準より8%下の1617円だった。三井の今期最終利益4000億円が現実味を増せば、株価の上昇はありそうだ。

 株価で三井が伊藤忠を今年前半は上回っていたが、伊藤忠は非資源部門が好調なこともあって三井を逆転した。

 利益でデッドヒートを繰り広げることになる伊藤忠と三井。株価でも現在は三井が150円近く下だが、再び逆転することがあるのか。利益・株価両面で、伊藤忠vs. 三井から目が離せなくなった。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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