個数制限
ヤマトの見通しの甘さが、委託業者へのしわ寄せを生んでいるということだろうか。
「繁忙期は『やってくれ、やってくれ』の一点張りで、ウチは昨年末の繁忙期は1日しか休めなかった。だけど、ピークを過ぎるとだんだん荷物が減ってきて、そうするとヤマトさんは『もう荷物少ないから、明日から来なくていいよ』などと平気で言ったりします。以前から、そういう話は委託業者の間に流れていて、ヤマトさんが募集をかけても、委託業者が集まりにくい状況になっているようです。
今年が特別だったのは、繁忙期の7月の15日に、いきなり個数制限が入ったんですよ。15日に『委託業者さんには、これしか出せません』という個数制限のお触れが出て、『これを1個でもオーバーしたら、契約を切ります』という状態でした。ヤマトさんの4~6月の収益が赤字だったと言われても、こちらには関係ないですし、まったく納得いきません」(同)
個数制限の目的は、なるべく多くの荷物をヤマト社員が配るようにするということだ。だがそれでは、社員の負担を軽減するという「働き方改革」とは矛盾する。
「社員さんの能力にも差があるので、捌ける人は捌けるでしょう。それに対して、委託業者が入ってないと捌ききれないエリアがある。逆に委託業者が入って早く終わった場合、まだ終わっていないエリアにヤマトの社員さんが応援に行ったりしていて、労働時間は結局のところ全員が延びてしまっています。ヤマトは何がしたいのか、さっぱりわかりません。残業代のほうが高くつくので、赤字の解消にはならない気がします。午後6時から9時の時間帯は委託業者に配達させるというルールというか慣例があって、これは社員の残業を減らすためでしょうけど、実際はヤマトの社員も残業していますから」(同)
ヤマトから委託された配達をやっていると、思わぬ事態にも遭うという。
「うちは、ヤマトに若いドライバーを引き抜かれてしまったことがあるんですよ。広告費かけて人集めて、時間かけて育てて、引き抜かれちゃったら、どこに怒りをぶつけたらいいのかわかんないですね。これは聞いた話ですが、ヤマトさんの仕事に80人くらいドライバーを投入しているような委託業者でも、10~20人辞めてしまい、そのなかからヤマトさんの社員になっている人もいますから。そういうことまでやられてしまうと、もう業者は集まらないでしょう。ウチはもう12月の繁忙期は、頼まれても人を入れるつもりはないです。