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ヤマト、委託業者が怒りの告発…一方的に「明日から来なくていい」、かえって労働長時間化

文=深笛義也/ライター
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 ヤマトさんのサービスのレベルを、新規参入してきた業者が1~2カ月できるかといったら、できるわけがないんですね。ちまたでは、『アマゾンさんがすごいんじゃなくて、ヤマトさんがすごいんだ』みたいなことも言われていますが、そうなのかもしれない。でも、結果として、一番末端が一番苦しいという状態です」(同)

個数制限は事実?

 委託業者のこの声を、ヤマトがどう受け止めるのか。同社広報部に問い合わせたところ、次の回答が寄せられた。

「サービス品質を維持するために、委託さんに協力を求めているのは間違いなく事実です。ご承知だと思うのですが、我々はずっとヤマトの社員で配達することが、信頼も含めてお客様へのサービスであると考えて、今までやってきました。昔は、7月のお中元、12月のお歳暮の時期に、どうしても荷物がオーバーフローするので、その時期だけ委託さんにお願いしていたのです。ところがここ数年、荷物の急速な増え方のため、人手不足で、普段の月でも委託さんに配達をお願いするという地域が都市部を中心に増えてきたというのも、事実としてあります」

 委託業者に対して、個数制限を行っているというのは事実なのだろうか。

「個別の契約に関しては、我々がお話しすることはできないんですけど、大原則として、配達すべき業務量は、だいたい計画ができるので、それに関しては当然社員が配達すべきだと思っています。社員で賄いきれないオーバーフローした分を、委託さんのほうにお願いしているので、何個やってくださいという契約はしてないです。1個いくらというかたちでお願いしています。毎日同じ個数が来ればいいんですけど、曜日とかでも変動があるので、受け止め方で、『もっとできるのに少なくなっちゃった』と思われていたとしたら、うちのほうで説明が不足してるのかなというところがあるんで、きちっと説明しないといけないですね。委託さんに、我々はお願いしている立場ですので」(同)

 長時間拘束されるのに収益が上がらないという声については、どうだろうか。

「当然、業者の方も生身のお体ですし、1日働ける時間にも限りがあるでしょうし、当然お休みも取っていただかないと、安全上も問題があります。宅配の事業者がほかにもありますけど、サービスの中身も違うんで、ヤマトの配達の仕方が他の会社さんより細かい点もあるかと思います。我々、全国に4000くらいの拠点があって、地域の特性によって、いろいろお願いする条件というのは違っています。基本的には我々のお願いしたい仕事を依頼して、それを受け入れていただいたなかで契約を結んでもらっているという認識でいます。もしかしたら何か、ご不満があるんであれば、きちっとお話し合いさせていただければと思います」(同)

ドライバー引き抜きはあるのか?

 午後6時から9時の時間帯は委託に配達させるというルールや慣例は、あるのだろうか。

「社内にそういうルールはないです。ただ夜間指定は昔と比べて増えていて、夜間の業務量が多くなっているのは事実です。そこで社員だと対応しきれないことが当然出てきているのも事実で、夜間も働いてもらえる委託さんは、我々としたらありがたいです。夜間、うちのトラックが全部止まっちゃうということはないですし、社員も夜、働いています。逆に委託さんは全員、夜間も勤めないといけないのかといえば、そんなことは決してありません。ご協力を求めて、やっていただける委託さんには夜間もお願いしているというこです」(同)

 社員の残業を減らすという意図はないのだろうか。

「サービスのあり方で、我々は社員の労働環境を改善したいというところはあります。委託さんが夜間もやっていただいて、業務量がこなせるのであれば、社員は帰れます。当然、社員の労働時間を短縮し、残業を減らすということは当然考えています」(同)

 委託業者から、ドライバーを引き抜くということはあるのだろうか。

「人手不足なので、社員の募集をしているということは事実あります。仮に委託で働いている方が、ヤマトに入りたいと言われた場合には、採用に関して書類選考しないだとか、面接をしないということはありません。当然応募があれば、通常通りの選考過程を踏まえて採用すべきか否か、判断させてもらっています。委託さんに限らず、我々が募集した際に、今働いている職種によって何か制限を設けるということは特にありません。うちのほうから、ドライバーさんに声をかけるということはありませんけど、委託さんでヤマトの仕事をやってみて、おもしろいなって興味を持って応募される方は、たぶんいらっしゃるんだろうなとは思います」(同)

 ヤマトの広報担当者は誠実に答えてくれたと感じるが、社員の「働き方改革」が端緒についたばかりで、委託業者の状況に目が行き届くところまではいっていない印象だ。宅配の恩恵を受けている消費者としては、「働き方改革」が隅々まで行き届くよう、願うばかりだ。
(文=深笛義也/ライター)

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