1杯3千円、「幻の世界最高級コーヒー」が日本でも飲める!絶句必至のブッ飛びの味
そんなエスメラルダ農園のパナマ・ゲイシャが脚光を浴びたのは2004年だ。同年にSCAP(Specialty Coffee Association of Panama:パナマ・スペシャルティコーヒー協会)主催の「ベスト・オブ・パナマ」という国際品評会に出品して優勝した。以来、連続して優勝を果たし、現在もその勢いが続く。
日本でもパナマ・ゲイシャの味を早くから評価して、輸入してきた人がいる。「ベスト・オブ・パナマ」の国際審査員をはじめ、国内外のコーヒー品評会の審査員を務めている鈴木太郎氏(サザコーヒー副社長)だ。ちなみに国際審査員はコーヒーの微妙な味の違いを審査したり分析したりする役割で、審査員のなかでも特に選ばれた人が務める。
「05年に審査員仲間のマヌエル・アルベス氏から『ゲイシャって知っている? 普通のスペシャルティコーヒーを上回る豆だよ。買える機会があったら買ってごらん』と言われたのです。しかし、当時は買う術がありませんでした」(鈴木氏)
東京農業大学を卒業後、グアテマラにあるスペイン語学校や、コロンビアコーヒー生産者連合会の味覚部門「アルマカフェ」でも学んだ鈴木氏は、スペイン語も堪能で外国人の友人・知人も多い。そんな人でも当時は手に入らない「幻のコーヒー豆」だった。
飲み比べてわかる「驚きの味」
やがてエスメラルダ農園と縁ができた同氏は、レイチェル氏に会ってゲイシャのサンプル豆をもらい、自分で焙煎して飲んでみた。
「コーヒーなのに、少しハチミツを混ぜた甘いミカンジュースのような味がしました。普通、コーヒーは出がらしが渋いのですが、あのゲイシャは出がらしまで甘かった。でも後日飲んだ別のゲイシャは、酸っぱさが強調された味でした。ゲイシャにネガティブな意見を持つ人は『酸っぱくてレモンジュースみたい』と例えるのですが、高級品種はもっと味に深みがある。私は幸い、最初に世界最高級の豆を味わえたのです」(鈴木氏)
それ以降、ゲイシャに魅せられた鈴木氏は、ほぼ毎年、コーヒー品評会におけるオークションでパナマ・ゲイシャを落札した。この中には、2016年の「ベスト・オブ・パナマ」で「1ポンド当たり275ドル」(約454グラム当たり約3万2000円=当時の為替レート)で落札した豆もあった。サザコーヒーの店舗では1杯「3000円」で提供した。