1杯3千円、「幻の世界最高級コーヒー」が日本でも飲める!絶句必至のブッ飛びの味
そんな高いコーヒーはそう売れないように思うが、「サザコーヒー本店では2日に1杯程度、全店では1日に2~3杯ご注文がありました」(鈴木氏)という。表現が過去形なのは、提供数に達して品切れとなったためだ。
17年の「ベスト・オブ・パナマ」で落札したコーヒー豆は、10月に店頭に出る予定だという。このなかには「1ポンド当たり601ドル」(約454グラム当たり約6万7300円=当時の為替レート)と、史上最高値でサザコーヒーが共同落札した豆もある。店頭でのコーヒー豆、コーヒー1杯の価格は未定とのこと。果たして、いくらで販売されるのだろうか。
今回、筆者もパナマ・ゲイシャを試飲する機会に恵まれた。まず4種類の豆をブレンドした「サザ・スペシャル・ブレンド」を一口飲んだ後で、ゲイシャ(「シングルオリジン」と呼ばれる単独の豆)を飲むと「なんだ。このコーヒーは?」と思った。フルーツ感があり、チョコレートのような残り感もある。自分がイメージしてきたコーヒーの味とは明らかに違うのだ。関心のある人は、ゲイシャを単独で飲んでも違いがわかりにくいので、ほかのコーヒーと飲み比べるとよいだろう。
「ワイン」と似てきた「コーヒー」
コーヒーは、栽培された果実をかじれば、強い・弱いといった違いはあるがフルーティーな味がする。農作物なので、気象条件や環境によっても、果実や中の豆の状態が左右されてしまう。
また、冒頭で紹介したように、日本に輸入されるコーヒー豆のうち、「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる豆は5%程度にすぎず、最高級品種はそのなかでもごくわずかだ。同じ品種でも農園によって味が異なり、同じ農園産でも栽培条件で味が変わる。たとえば次のような表記となる。
「パナマ・ゲイシャ ナチュラル ××農園」
「パナマ・ゲイシャ ウォッシュ ××農園」
ナチュラルとは「果実干し」の意味で、お米のようにコーヒー果実をそのまま天日干しするもの。一方のウォッシュは「水洗式」の意味で、果実の中の豆を取り出し、きれいな水で洗うものだ。一般にナチュラルは「フルーツに酵母菌がつき、干し柿のようになる」(太郎氏)という。
こうして考えると、コーヒーはワインの世界に似ている。「品種」「テロワール(土地)」「生産者(農園)」「栽培」によって異なるからだ。コーヒーの場合は、生豆の特性を生かした焙煎方法が「浅煎り」「中煎り」「中深煎り」「深煎り」まであり、それ次第で味も変わる。
気候も過ごしやすくなり、温かいコーヒーが楽しめる時季となった。秋の夜長に、豆ではブレンド、シングルオリジン、さらにはエスプレッソ、カフェラテ、カプチーノなどさまざまな味が楽しめるのは贅沢な環境といえよう。10月1日は「コーヒーの日」でもある。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)