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1990年代に大ヒットした無印良品のシンプルなCDプレイヤーに関して、仮に量販店で販売するとなると、他社商品との差をつくるために追加的機能を加えなければならない。また、商品を目立たせるためのPOP広告によりシンプルなデザインが台無しになってしまうといった問題が生じてしまう(「モノ・マガジン」<ワールドフォトプレス/775号>より)。
つまり、必要な機能以外は大胆に削除する、徹底したシンプルなデザインを特長とする無印良品の商品は、企画から販売までをトータルにコントロールできるSPAだからこそ、成立しているというわけだ。
ユニークな商品開発
商品開発に関しても、無印良品はユニークだ。
たとえば、ベッドの改良といえば、「より寝やすく」といった睡眠に関する要素に注力してしまいがちだが、無印良品ではワンルームマンションに暮らす単身者にスポットを当てる。こうした消費者は、ベッドをソファ代わりに使う場合も多いというニーズにこたえ、端に腰かけても深く沈みこまないといった改良を実施している。
現代の日本社会における低価格化の進展は、技術の成熟化により他社商品との機能的な差別化が困難となるコモディティ化の影響によるところが少なくはない。こうした脱低価格競争の切り札として、しばしばブランドが注目される。しかし、商品やサービスと切り離して語られることが多いブランドに対して、筆者は否定的である。
無印良品は、日本国内はもちろんのこと海外でも“MUJI”として人気のブランドとなっている。これは単にイメージアップを図るような広告展開を行ったからではなく、自社が消費者に提供したい商品のコンセプト、それを見事に具現化させる仕組みや組織力により、実現している。無印良品の事例は、真の差別化を検討する多くの企業に有益な示唆を与えてくれるだろう。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)
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