FC店の出店が計画を下回り減益決算に
WASHハウスは8月9日、17年1~6月期の決算を発表した。売上高は従来予想の18億7000万円が14億4000万円(前年同期比14.8%増)、営業利益は1億4000万円が3000万円(同64.5%減)と、期初に公表していた見込みが大幅に未達となった。原因は、新規のFC加盟が計画の65店から45店にとどまったためとした。
店舗数は17年6月末時点で542店。九州が433店と大半を占める。東京、大阪の大都市圏へのFC展開を目指したが、想定通りには食い込めなかったということだ。減益決算で失望売りを浴び、4000円台弱で推移していた株価は8月14日、2631円に急落した。
だが、この頃に“恵みの雨”が降った。長雨による異変をレポートした記事の中で、東京では「8月の乾燥機の利用が2.1倍になった」と報じられた。東京で2店舗を展開しているWASHハウスは、この記事を材料に“長雨銘柄”として買われ、8月17日の終値は前日比255円高の3185円をつけた。
コインランドリービジネスは、天気に左右される。晴れの日が続くと売り上げが減り、雨が続くと増える。梅雨はコインランドリービジネスの救世主だ。
17年12月期通期の決算は、売り上げが前期比37%増の42億円、営業利益が27%増の3億7000万円、純利益が34%増の2億5000万円と、強気の見通しを据え置いている。計画の達成は、新規のFC店を計画通り出せるかどうかにかかっている。
コインランドリーの店舗数はファミマ並み
全国では、コインランドリーの新店が続々誕生している。厚生労働省の「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査2014」によると、全国のコインランドリーの店舗数は04年度の1万2726店から13年度は1万6693店と10年間で、およそ4000店増えた。毎年300店のペースで増えており、現在は1万8000店前後と推定されている。コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートの店舗数に匹敵する。
コインランドリーが成長産業とみなされている理由は2つある。ひとつは、共働きやアレルギーの悩みを持つ人の増加。クリーニング店に出さずにコインランドリーで洗濯する人が増えていることもある。2つ目は、コインランドリー投資が一般的な不動産投資に比べて初期投資が少なく、軌道に乗れば利回りが高くなることだ。コインランドリーのオーナーになれば、年率15%以上のリターンが狙えると人気となっている。
このため、コインランドリー投資がさらに活発になり、将来は4万店まで増えるという強気の予想を立てる向きもある。
コインランドリー市場を牽引しているのは大手4社だ。業界初の上場を果したWASHハウス同様、FC方式で全国に勢力を広げているのは、マンマチャオを展開するエムアイエス(389店=17年8月時点)、コインランドリーデポを運営するランドリーデポ(196店=16年10月時点)だ。また、FC展開はしていないが、オーナーが希望すればホワイトピアの店舗ブランドを使用できるFujitaka(233店=16年12月時点)がWASHハウスの後を追う。
最大の市場である首都圏を舞台に、新規FC店の争奪戦は激しさを増している。
(文=編集部)