ファミマとローソン、経営統合の可能性も
ここで、業績について触れておきたい。
コンビニ大手3社の2017年8月中間決算が10月12日までに出揃った。ファミマの営業利益(旧サークルKサンクスとの合算数値)は、248億円で前年同期16.9%減。「サークルK」と「サンクス」の看板を「ファミマ」に統一するための費用がかさんだことが営業減益の理由としているが、実際は既存店売り上げが伸びないのが根本原因だ。
8月末の店舗数は、セブン-イレブン・ジャパンが1万9851店で、ファミマは1万7921店、ローソンは1万3450店だ。ファミマは19年2月末までに2万店を目標に掲げている。
コンビニ業界を担当する外資系証券会社の有力アナリストは、「ファミマはセブンをライバル視して商品・店舗戦略を立てているが、ローソンとの戦いに集中するのが先決ではないか。自分の力を過大評価している」と手厳しい。
このアナリストは「セブンの17年8月決算は営業最高益を更新した。一方、ファミマとローソンは営業減益だ」と分析。すでに店舗数が大手3社だけでも5万店を優に突破。日本全国でオーバーストア状態になっていて、コンビニの淘汰が始まるのは必至だ。
「近い将来、2強時代になる。もし、セブンvs.ファミマ・ローソンという構図になるとすれば、ファミマとローソンのどちらが経営統合の主導権を握るのかという争いになる。ファミマの正面の敵はローソンなのではないか。戦略が間違っている」(前出アナリスト)
ローソンは、三菱商事の子会社(50%を出資)。ファミマ(ユニー・ファミリーマート・ホールディングス)は伊藤忠商事が34.6%の株式を保有している。ファミマ・ローソン連合が誕生する折に、経営統合交渉の主導権を握るのが三菱商事なのか、はたまた伊藤忠なのか。総合商社のライバル2社トップの交渉力が問われることになる。
コンビニ業界は、カリスマ経営者の鈴木敏文氏が去った後、「(トップに)キャラの立つ人がひとりもいない」(コンビニを担当する別のアナリスト)状態。ファミマだけでなく、セブンもローソンも、トップの一挙手一投足がマスコミで取り上げられることが少なくなっている。
ファミマといえば、大ヒット商品になったファミチキを発案した、名物社長で会長だった上田準二氏の等身大の看板が店の前に立っていたことがある。この等身大の看板には、「やりすぎ」との声があったが、ファミマは“目立ちたがり屋”が社長になる会社なのかもしれない。