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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

インスタ映え競争でリア充偽装する人々…貴重な体験を楽しみ損ね「本末転倒」の恐れ

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季

「承認欲求」を超えて「自己実現」を目指すべき

SNSで『いいね』を欲する気持ちは、自尊心を満たしたいという欲求が強いためです。反対を言えば、SNSがこれほどまで普及しているからこそ、若者たちの自尊欲求、いわゆる承認欲求が旺盛になっているといえます。ですが、そのためにサービスを消費する人は、本来の目的と手段が逆転してしまうといった状況に陥ることもあります」(同)

 人に見せる写真を撮ることに夢中になりすぎて、本来自分で楽しむべきはずのことさえも満足に味わえなければ、それは本末転倒だ。

「心理学者のマズローが唱えた『欲求の5段階説(欲求ピラミッド)』で、自尊(承認)欲求は下から4番目の階層に位置しています。ですが、そのさらに上に、充実を実感することを他者との比較から切り離して感じ取れる『自己実現』という境地があります。本来、個々人にとって充実した時間や生活は千差万別で、他者との比較から生まれるものではありません。他者との比較で『いいね』を期待する気持ち(承認欲求)に自制がきかないと、せっかくの貴重な体験も無駄になりかねません。時と場合によっては、自分が楽しむことを優先しても後悔はしないのではないかと思いますね」(同)

 適度にインスタ映えする写真を楽しむことは、各自の消費の広がりのなかで決して無意味なことではないであろう。しかし、それが行き過ぎると、徒労ばかりか過剰な投資や非常識な行動が伴ってしまうこともある。生活や心を豊かにするためには、経験価値型のサービスも賢く消費しようという意識が大事だといえる。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)

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