フェイスブック、ウーバー、イケア、ピクサー、そしてアップルやグーグル。世界に絶大な影響力を持ちながら、今なお成長し続ける企業の代表格だ。
彼らは、なぜトップに君臨し続けていられるのだろうか? そこには「カテゴリー」でトップに立つという戦略を見事に実践している事実がある。しかも、重要なことは既存のカテゴリーで勝負しているのではなく、新たなカテゴリーをデザインし、その領域を自社の色に染め上げている点だ。
アメリカで出版されて好評を呼び、日本語翻訳版が出版された『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』(アル・ラマダン、デイブ・ピーターソン、クリストファー・ロックヘッド、ケビン・メイニー著、長谷川圭訳、集英社刊)は、そんなカテゴリーでトップに立つ「カテゴリーキング」たちの実態を分析する1冊だ。
第1回は「冷凍食品」というカテゴリーを生み出したバーズ・アイ、第2回は言わずと知れたグーグルをピックアップした。第3回となる今回は、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の代表格であるフェイスブックが、カテゴリーキングとして君臨し続ける理由についてフォーカスしよう。
大学限定から全世界に広がったフェイスブック
全世界で1カ月に20億人以上が利用するといわれるフェイスブックは、もともと大学生のための――それもハーバード大学に限定した――閉じられたソーシャルネットワークだったことは、今や多くの人が知っているだろう。
本書の著者たちは、この勢いを「フライホイール(弾み車)」という言葉で説明している。カテゴリーキングに君臨し続ける企業に共通してみられる現象であり、企業デザイン、プロダクトデザイン、カテゴリーデザインがうまく噛み合うことによって生まれる相乗効果といったところだ。
フェイスブックの場合、ユーザーがコンテンツを投稿してほかのユーザーと結びつくことでフライホイールの勢いが増していくという性格を持っている。
ただ、ユーザーが自主的にコンテンツを投稿したりほかのユーザーと結びついたりできる環境を提供することは、きわめて難しい。では、なぜフェイスブックにはできたのか。
当初、フェイスブックは全世界に広げるつもりのないサービスであったところに、その答えが隠れている。ハーバード大学からほかの大学に門戸を広げていき、その過程で身の丈にあったカテゴリーを着実に定義していったのだ。
本書の著者たちも、現実世界の知り合い同士を結びつける「POV(Point Of View)」は、当時としては先進的だったと評価している。
『カテゴリーキング Airbnb、Google、Uberは、なぜ世界のトップに立てたのか』 Facebook、Google、Salesfroce.com、Uber、VMware、Netflix、IKEA、Birds Eye、5-hour ENERGYやPixarが共通してやってきたことは? 彼らはみな、製品やサービスの新たなカテゴリーを創造し、発展させ、そして支配し続けてきたのだ。