フリーマーケットアプリを展開するメルカリは10月4日、小泉文明社長と新規事業を手掛ける子会社ソウゾウの松本龍祐社長が、いずれも約2カ月の育児休暇を取得することを明らかにした。
メルカリは2016年に産休・育休期間中の給与を会社が100%支払う仕組みを導入。男性社員の約9割が育休を取得しているという。経営陣が育休をとることで働き方改革の範を垂れた、と示したいのだろう。
一方で、これは「メルカリが年内の上場を断念したことを意味する」(新興市場に詳しいアナリスト)との受け止めが広がった。社長が個人的な育休を優先して、IPO(新規株式公開)の準備や上場予定日の記者会見に出席しないなどということは、通常ではあり得ないからだ。
メルカリは今年7月、株式の上場を東京証券取引所に申請したと報じられ、年内の上場を目指すとしてきた。時価総額は1000億円を超える可能性が高い。海外では企業価値が10億ドル(1000億円)以上の未上場企業を「ユニコーン」と呼ぶ。メルカリは日本のユニコーンの代表格と位置づけられてきた。
125億円を資金調達し、上場準備は整う
メルカリは2013年に設立。スマートフォン(スマホ)アプリを使って個人が持ち物を気軽に出品し、即座に売買できるのが特徴だ。14年に米国にも進出し、サービス開始から4年で日米合わせて7500万人ダウンロード数を誇る。毎日100万アイテムの出品があり、毎月メルカリで売買される金額は100億円を超える。個人主導の“メルカリ経済圏”をつくり上げた。
創業者の山田進太郎氏は早稲田大学教育学部卒で、大学在学中に楽天オークションの立ち上げを経験したIT起業家だ。個人間で取引できるフリーマーケットアプリ「メルカリ」が大ヒットしたことから、上場を計画。17年4月、山田氏は会長兼CEOとなり、小泉文明氏が社長兼COO(最高執行責任者)に就任した。
小泉氏は早稲田大学商学部卒。大和証券SMBC(現・大和証券グループ本社)に入社。投資銀行本部でインターネット企業のIPOを担当し、ミクシィやDeNAの上場に携わった。13年にメルカリに参画。小泉氏の使命はメルカリを上場させることである。