これまで、メルカリは第三者割当増資や新株予約権付社債の発行を駆使して資金を調達してきた。
13年はEast Ventures、ユナイテッド。14年はグローバル・ブレイン、グロービス・キャピタルパートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、GMO Venture Partners、World Innovation Lab(WiL)、East Venturesが出資した。グローバル・ブレイン、グロービス・キャピタルパートナーズ、GMO Venture Partnersは同年に2度出資している。
16年3月には84億円の大型の資金調達を行った。既存株主で引き受けたのは、グロービス・キャピタルパートナーズ、WiL、グローバル・ブレイン。新たに三井物産、日本政策投資銀行、ジャパン・コインベスト投資事業有限責任組合も出資した。メルカリの経営陣も、16年の大型資金調達の際には株式を引き受けている。この結果、メルカリが外部から調達した資本は125億5000万円に上った。
第4期決算公告(16年6月期)で黒字に転換した。売上高は122億5000万円、営業利益は32億8000万円、純利益は30億1000万円。累積赤字を一掃し、これで上場の準備が整った。
フリマが不正の温床に
だが、上場を目前にして次々と問題が噴出した。メルカリは出品者の登録時に身分証明書の提出を求めていないため、偽名でも出品可能だ。悪徳業者や脱法的な方法で商品を入手した出品者が利用しやすいことから社会問題化し、週刊誌などで“泥棒マーケット”と酷評された。
今年4月には、福沢諭吉の1万円札5枚(5万円)が5万9500円で出品され、取引が成立するという“怪現象”が起きた。クレジットカードのショッピング枠を使って、メルカリに出品された5万円を購入したのだとすると、ショッピング枠を使って現金を入手したことになる。キャッシング枠分を使い切った人でも現金を入手できる抜け道だ。
ショッピングはクレジットカードを利用して買い物することだが、キャッシングはクレジットカードで直接、現金を借りることを指す。ショッピング枠でキャッシングしたり、キャッシング枠でショッピングすることは禁止されている。