復活したaiboは初代AIBOと比べるとデザインも大幅に変わった。ユーザーのなかには「昔のロボットっぽいデザインのほうが良かった」といった声も聞かれる。
「aiboは動作も滑らかになっているし、デザインも一新されている。はやりのクラウドとも連携していますが、初代AIBOはメモリースティックでしたからね。初代AIBOのデザインはあの時代の象徴であって、当時はロボットというだけで“登場感”があった。つまり、ロボットらしい姿形が重要だったのですが、新型aiboはロボットというよりペット。鉄人28号というよりは鉄腕アトムみたいな感じで、より人間に近づいている」(麻倉氏)
“ソニー復活”はみんなの願い
「平井さんはハワード・ストリンガーが退任した12年、ソニーがいちばん大変な時期にトップに就任した。いろいろ批判もされましたが、最初から“感動”だと言っていた。感動がなくても生きていけるけど、感動があればもっと楽しいですからね。すべての事業体に感動を求めた。従来からのオーディオビジュアルだって、よりいい映像、よりいい音質でユーザーに感動を与えてきた。aiboも癒やしが得られて、一緒に成長していくという、ペットとしての感動が得られますからね」(麻倉氏)
ソニーは昨年5月、人工知能(AI)で人間のように自ら学び続けるコンティニュアルラーニング(継続学習)の確立を目指し、米国コジタイ社に資本参加。次世代人工知能(AI)技術の共同開発に取り組んでいる。将来的には製造や物流など広範囲な領域でもロボットビジネスを展開するという。果たして、aibo復活はソニー復活を意味するのか。
「問題はaiboの次でしょうね。aiboを復活させただけじゃ、遊び路線だし、昔の名前で出てきただけ。本格的な復活というのは、aiboを超えたところにある。具体的には新しいロボットが出てきたときに本当の真価が問われる。aiboはソニー復活の象徴ではあるけど、従来の枠にはまらない新しい成長路線に行かなければダメ。これまでの負の時代がやっと終わる象徴であるのは間違いない。みんなソニーが好きだし、元に戻ってほしいという思いがあって、今までが悪かっただけに、“復活”という言葉がすごく刺さるんですが、ソニーにはぜひその次を見せてほしいと思っています」(麻倉氏)
目標は初代AIBOの15万台越え。好調な滑り出しを見せるaiboだが、次なる3度目の予約販売の結果に要注目だ。
(文=兜森衛)