楽天は通信規格「4G」の周波数帯の取得を総務省に申請する。2017年12月14日付日本経済新聞によると、「10年後をメドに1500万(10%)以上の契約件数を目指す」としている。
「周波数帯の認可が下りれば、新規事業者への周波数帯の割り当てはイー・アクセス(現ソフトバンクグループ)以来、13年ぶりとなる。(略)年明けにも携帯電話事業の新会社を設立し、電波の割り当てを申請する。基地局の整備などに数千億円の投資が必要になるため、サービス開始時に2000億円、2025年までに最大6000億円を借り入れる」(同紙より)
17年12月14日の東京株式市場で、楽天の株価は大幅に下落した。携帯電話事業者の新規参入に対する投資負担の大きさを投資家は警戒。一時、前日比56円(5%)安の1084円と、約8カ月半ぶりの安値をつけた。終値は1084.5円(55.5円安)。15日も一時、7%安の1011円と年初来の安値を更新。2日間で11.3%安を記録した。
マッコリー証券は目標株価を1635円から1165円に大幅に引き下げた。株価4ケタ(1000円)を維持できるのかどうかの瀬戸際である。
大発会(1月4日)は日経平均株価が741円強上げ2万3506円と26年ぶりの高値でスタートしたが、楽天の株価は一時、8円安の1024円。終値は1032円(0.5円安)だった。
楽天の携帯電話事業への参入は、「終わりの始まりになる」のではないかと予想する向きもある。楽天は自前の回線を整備するのに基地局を含めて6000億円の設備投資が必要だとしているが、実際、この金額では何もできない。さらに言えば、基地局などを維持するのに毎年どのくらいかかるのか、三木谷浩史会長兼社長は試算しているのか疑わしいと指摘する声も上がっている。
NTTドコモやKDDIは既存の通信事業者が母体。ソフトバンクはボーダフォンの日本法人を1.7兆円超で買収し、一気に設備と顧客を手に入れた。楽天が本当に一から自前の回線をつくるとすれば、どのような手段を用いるのだろうか。
携帯電話事業参入はハイリスクか
「日本のケータイの市場規模を考えると、4社体制は厳しい。新たに一から基地局を立てるのは大変なことだ」という外資系証券会社のアナリストの指摘を待つまでもなく、無謀とも思える挑戦なのだ。