「高単価で高品質」のすしに注力
そうしたなか、かっぱ寿司は、「高単価だが高品質」のすしの提供に力を入れている。かっぱ寿司ではすしの多くを「2貫100円」という低単価で提供しているが、「1貫100円」「2貫180円」といった高単価のすしが徐々に充実してきているのだ。特に17年は相当力を入れたようだ。
たとえば、17年1月9日に1日だけ数量限定で、天然の大間の本マグロのすしを1貫280円で提供した。9月には北海道産のいくらのすしを1貫180円で、11月からは本ずわい蟹のすしを1貫180円で、それぞれ期間限定で提供している。これらはほんの一例にすぎず、ほかにも多数の高単価・高品質のすしを提供している。
その効果は、客単価に如実に表れている。16年度の既存店客単価は前年度比2.4%増にすぎなかったが、17年度上期(4〜9月)は6.0%増と大きく伸びている。10月は8.2%増、11月は11.3%増、12月は8.4%増となった。18年1月は6.1%増となっている。食べ放題の影響もあるだろうが、高単価・高品質のすしが大きく引き上げたといっていいだろう。
それは客単価だけでなく、売上原価率にも表れている。カッパ・クリエイトの11〜15年度の売上原価率は45%程度だった。ところが、16年度は49.2%にまで跳ね上がっている。17年4〜12月期は48.1%で依然として高い状態が続いている。売上原価率の上昇も、食べ放題の影響が多少あると考えられるが、高単価・高品質のすしを価格を抑えて提供したことが影響しているだろう。
かっぱ寿司は高単価・高品質のすしを相次いで投入することで、おいしくなったことをアピールしたいのだろう。ただ、残念なことに、食べ放題などインパクトのある施策の影に隠れ、高単価・高品質のすしが大きな話題になることは、ほとんどなかった。集客につながったとはいいがたい。
実際に、客数は依然として減少が続いている。14年度の既存店客数が前年度比7.7%減、15年度も同5.5%減、16年度は6.5%減と減り続けており、高単価・高品質のすしで17年度は集客を図りたいところだったが、17年度上期(4〜9月)が前年同期比6.7%減、10月が前年同月比17.9%減、11月が同5.2%減、12月が同10.6%減と、客数減が止まらない状況だ。18年1月も同9.1%減となっている。