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ワタミ、客離れ終了で完全復活寸前…その「目立たない要因」、鳥貴族と真逆戦略

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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セントラルキッチンで効率化が加速

 ワタミが復活しつつあるのは、三代目鳥メロとミライザカへの業態転換を推し進めたことが一番の要因であることは間違いないが、もうひとつ目立たない要因が実は存在する。食品加工工場「ワタミ手づくり厨房」の効率化を実現したことだ。

 ワタミ手づくり厨房は現在、全国に12施設あり、グループの外食店舗で使用する食材や宅食事業の弁当の供給元となっている。外部の供給業者や自社農場の「ワタミファーム」から食材を仕入れ、それを加工・製造し、外食店舗や宅食事業の営業所に納品している。

 ワタミ手づくり厨房では大規模な設備は導入せず、主に人の手で加工・製造を行っているという。手作業を主体にして下処理や調理、盛り付けといった工程を行っているのだ。1992年に居酒屋「和民」を出店した当初より受け継いできた“手づくり感”を損なわずに調理する考え方を取り入れているという。

 2002年3月に埼玉県越谷市に設置し、関東圏の店舗へ商品の提供を開始した。10年代初頭に特に集中して稼働を開始している。10年11月に兵庫県丹波市、11年9月に埼玉県比企郡、12年5月に愛知県津島市、13年1月に山口県岩国市、13年6月に埼玉県白岡市でそれぞれ稼働を開始した。

 16年12月には埼玉県白岡市のワタミ手づくり厨房内に、コメ卸最大手「神明」のグループ企業で炊飯加工「神明デリカ」の工場を開設。またワタミの宅食事業用に神明デリカから米飯供給を受け始めている。

 さらに、ワタミ手づくり厨房を活用してスーパーマーケットなどへ総菜や有機野菜を使用した加工品の販売も新たに始めている。早期に収益モデルを確立し、売上高100億円を目指すという。

 ワタミ手づくり厨房は「セントラルキッチン」に該当する。セントラルキッチンとは、規模のメリットを生かして大量の料理を一手に引き受けて製造する施設のことだ。

 セントラルキッチンがない企業の場合、各店舗で本格的な仕込みや調理を行わなければならないため、そのための厨房設備を設置するスペースが必要となるので、家賃負担も大きくなる。一方、セントラルキッチンを設けることができれば、各店舗に本格的な厨房設備を設ける必要がなくなり、その分の家賃負担を抑えることができる。

 また、セントラルキッチンで一括して加工・製造を行うので厨房設備の稼働率が高まるため設備効率が良くなる。厨房設備の稼働率が高まれば作業の連続性も高まるため無駄な作業が減る。そのため人員効率も高まるのだ。

 つまり、セントラルキッチンを設けたほうが全社レベルで考えた場合の家賃コストや設備コスト、人件費を抑えることができる。また、セントラルキッチンの能力が高ければ、製造する製品の品質を一定の範囲に保つことができるため、店舗による味のばらつきを最小化できるメリットもある。

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