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東芝、「銀行家」新会長就任で露呈した「深刻な状況」

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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今後の展開予想

 当面、東芝リストラによってコストカットを進めつつ、成長分野を開拓するという難題に取り組まなければならない。今日の競争環境は、日進月歩ならぬ秒進分歩のスピードで変化している。先進国の大企業が競争を優位に進めることができるという保証はどこにもない。短期間でITベンチャー企業が成長し、世界の主要企業と肩を並べる、あるいはそうした企業をのみこむ展開も十分に考えられる。金融実務の経験を応用することで、そうした変化を見極める“目利き”の役割を担うことは、ある程度は可能だろう。

 しかし、それだけで経営再建を進めるのは難しいだろう。東芝はベンチャー企業のような発想をもとにして今後の経営を進めていくべきだ。目利きよりも、新しいことに取り組み、付加価値の創出を追求するアニマルスピリットを社内に持ち込むことが重要である。今後もコストの削減が予想されるなかで、いかにして組織全体の士気を高め、新しいことに取り組むムードを高めることができるかが将来を左右するだろう。既存の事業からもたらされる収益を原資に、ゼロから組織をつくり上げるほどの考えが、東芝の再生には不可欠だろう。そうした取り組みを進める人材を外部から登用し、その資質に応じた人事評価体制などを整備することも欠かせない。

 そうした取り組みを進めることができないと、東芝が長期的に経営を成り立たせていくことは難しくなる可能性がある。状況によっては、追加的な事業の売却などが進められ、東芝という企業の存在そのものが追加的に小さくなる展開も考えられる。

 当面、東芝はコーポレート・ガバナンス体制の再構築を進めるだろう。そのなかで、売却が決定した半導体に代わる新しい成長分野が登場し、リストラを進める必要性が低下するか否かは、同社の存続を考える上でのポイントになる。そのためのコミットメントが今後の経営陣には求められる。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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