オーナーにも無断で不動産会社が利益追求か
さて、知人の不動産オーナー何人かにこうした費用について聞いたところ、入居者サポート料などの費用が自分の物件にも付帯していることすら知らなかった。つまり、募集・管理する不動産会社がオーナーにも言わず勝手に付けていたということだ。入居者にとっても負担になるが、オーナーにとっても入居者が入りにくくなる原因になるもので、余計な費用だといえるだろう。少なくとも、入居者に要不要の判断をさせるようにするべきだ。
もちろん、こうしたさまざまな付帯費用について、オーナーが希望している、あるいは納得しているなら話は別だが、最近は「礼金ゼロ」「敷金ゼロ」をうたう物件も増えており、オーナーとしては少しでも入居者が決まりやすいように、初期費用を低く設定しているのに、不動産会社が勝手に初期費用や毎月の費用を増やしていてはたまらない。
これらの費用は、非常に罪深い。表面的に説明を聞けば、必要なもののように思え、役に立つような気もする。しかも、入居者にしてみれば、断ったら入居できないかもしれない“半強制”のように思えるだろう。実際に、「支払わないと入居できない」と説明されることも多い。だが実態は、これらの付帯費用はいずれも任意のはずで、断ることはできる。
一方、オーナーにしても、不動産会社の気分を損ねたら入居募集で後回しにされるかもしれないという不安がよぎる。そのため、こうした一見不要とも思える費用の存在を、仮にオーナーが知ったとしても断りにくく、不動産会社の思う通りになってしまうのである。
はっきり言って、これらの最近増えてきた付帯費用は、不動産会社の利益が優先されているにすぎない。せっかくオーナーが入居者確保のために費用を抑えていても、少なからず入居者の負担を増やし、不動産会社ばかりが利益を取るのはいかがなものだろうか。
賃貸住宅は、あくまでもオーナーの財産だ。不動産管理会社がそれを利用して利益を求めるなら、せめてオーナーに付帯費用について説明し、了承を得るべきだろう。
現在、こうした賃貸住宅の付帯費用について規制は見受けられない。オーナーもこうした費用が入居者にとって不要だと思えば、不動産会社に自分の物件にはそういったものは付帯させるなと主張するするしかない。賃貸経営を営む上では不動産オーナーが自分でこうしたところまでコントロールすることが必要な時代になったということだろう。
(文=小林紘士/不動産ジャーナリスト)