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ソニー・シックス始動、過去最高益に隠れる危機…一部品メーカー化で「財務の会社」か

文=編集部

 好業績は、為替の円安など外的要因が大きい。テレビや携帯電話、映画の不振を、ゲーム機が支えてきた。ゲーム事業が下降サイクルに入っていくなかで、他の事業でどう補っていくかが喫緊の経営課題だ。「最高益といっても7割方は運だ」と、冷めた眼で分析する現役役員もいる。

 ソニーは人工知能(AI)やロボットなど新技術開発に力を入れている。ソニーの次の成長は、新たな領域への進出や新技術の創出がなければ担保されない。そんななか、「4月から開発部門のトップとなる勝本徹執行役がカギを握る」(ライバルのエレクトロニクスメーカー技術担当役員)との指摘がある。

 その勝本氏は、ユニークな経歴の持ち主だ。1982年4月にソニーに入社。民生用のカムコーダー(ハンディタイプのカメラ一体型のVTR。一般に「ビデオカメラ」という)の商品開発・設計に携わり、英国に赴任後、2005年8月からデジタルイメージング事業本部AMC事業部長として、コニカミノルタからカメラ事業の譲渡を受け、一眼カメラシステム“アルファ”の事業を推進。11年10月からデジタルイメージング事業本部副本部長に就任。コンパクトデジタルカメラやカムコーダーの技術・商品開発の責任者。13年、オリンパスとの合弁医療事業会社の社長に就いた。デジタルイメージング事業本部副本部長、システム&ソフトウェア技術部門の部門長を経て現職である。

 かつて世界を席巻したソニーは、インターネット時代に入り米アップルや米アマゾンに圧倒的な差をつけられた。ソニーの創業者、井深大氏は“ソニースピリット”についてこう述べている。

「ソニーしかできないことを、ソニーがやらなくなったら、ソニーでなくなる」

 ソニーが往年の輝きを取り戻すには、まだ遠い道のりを必要とするだろう。出井伸之氏、ハワード・ストリンガー氏という2人の元社長が「ソニーらしさ」を忘れ去り、“普通の会社”にしてしまったからである。

 ソニーの失敗の典型例を挙げておきたい。

 有機ELで先行していたのに、液晶テレビを主力とすることに方針を変更し、有機EL開発をやめた。ソニー内部では「あんなに早く液晶の価格が下落するなら、有機EL開発をやめなかった」という後悔の念も聞こえる。この時の判断は、「これだけ液晶がバカ売れするなら、液晶で稼いだほうがいい。液晶がダメになってきたら、再び有機ELの開発に戻ればいい」ということだった。しかし、有機EL開発を中断していた間に、韓国や中国のメーカーが勢いを増し、ソニーは追いつけなくなってしまった。

BusinessJournal編集部

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