――大当たり出玉や連チャンに特化したスペックですよね。
和田 そうです。こういった試みをいろいろなメーカーやホールがするようになれば、どんどん差別化が進み、遊技の選択肢も広がるでしょう。
中島 新規ユーザーを増やすのは現実的ではないので、こういったものでライトユーザーやミドルユーザーの遊技時間や投資金額が少しずつでも増えていけば、業界に活気が戻ってくるんですけどね。
行ってはいけないホールの特徴とは
――では逆に、今後行ってはいけないホールの特徴はどういったものですか?
和田 これまでも言われてきたことですが、新台の入れ替え頻度が少ないホールですね。
中島 新台を買うような資金的余裕のないホールってことですか?
和田 そうです。21年の2月には全台を新規則の機械にしなければいけません。でも、そんな資金はない。そうすると、21年2月に廃業することを決めながら旧規則の台で営業を続け、目先の売り上げの確保に走ることになります。
中島 そんなホールが、お客さんにとってプラスの営業をするとは思えませんね。
和田 そうですよね。もちろん、新台入れ替えの費用を抑えて旧台を甘く使う優良店もあるでしょうけど、やはり新台入れ替えの頻度がホールのやる気や資金力の目安になります。
――では、新規則の影響がホール運営や稼動率などに表れてくるのは、いつ頃になると思いますか?
和田 今年は旧規則の台がまだまだ出るでしょうから、ホールの設置台のなかで新規則の台が50%を超えたあたりですかね。それが今年の秋なのか、年末なのか。それとも来年なのか……。
――そのときにライトユーザーやミドルユーザーがパチンコ離れしてしまうことのないように、なんらかの対策が必要ですね。
中島 射幸心を煽ることができない以上、楽しさの面をアピールするのが王道。でも、果たしてそれだけでユーザーは打ってくれるのでしょうか。
和田 お金がかかっている以上、“リターン”の面でメリットがなければいけません。スペックの進化の歴史は、メーカーによる規則の拡大解釈の歴史です。きっと警察をうまく煙に巻いて、尖ったスペックの台を出してくれるんじゃないかと期待しています。
――ありがとうございました。
ただちに大きな影響がないとはいえ、たび重なる規則の改正を目の当たりにして、今後の見通しに不安を抱いているユーザーは多い。ユーザーが遊技することで使ったお金がメーカーやホールを支えているということを考えれば、今後、ユーザーにさらなる負担を強いるようになったときがパチンコ業界の終焉なのかもしれない。
(構成=山下辰雄/パチンコライター)