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これを受けて国家戦略特区ワーキンググループは、14年8月から関係省庁のヒヤリングを開始し、そのヒヤリングは15年10月まで10回にも及んだ。なんとそのうち8回は、原則公開にもかかわらず非公開扱いされ、どのような審議がされたかまったくわからないままであった。そして、15年9月9日の第15回特区会議で外国人家事支援人材の受け入れの実施が報告されたのである。
そして、神奈川県で実施されたこの外国人家事支援人材の受け入れ事業を請け負ったのは、パソナグループであった。同社は「国家戦略特別区域外国人家事人材受け入れ事業認定機関」として、「クラシニティ」という名称の「世界基準のハウスキーピングサービス」を提供している。同社ホームページ上では、「ハウスキーピングサービス『クラシニティ』は、女性のさらなる社会進出を応援するため、フィリピンからハウスキーピングの専門スタッフを日本に招へいし、国家戦略特区の神奈川県と東京都でハウスキーピングサービスを開始いたしました」としている。
同様のスキームが、今回の外国人就農にも使われた。外国人就農に関するワーキンググループで久知良俊二・厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課課長は「家事支援のスキームを多分参考にされるということが農水省さんのベースにはあると思います」と発言している。
こうした経緯より、竹中氏が特区会議を使ってパソナに利益誘導を図っているのではないかと指摘されている。
昨年の国家戦略特区法改正時の付帯決議では、「国家戦略特別区域諮問会議の中立性を確保する観点から、民間議員等が私的な利益の実現を図って議論を誘導し、又は利益相反行為に当たる発言を行うことを防止するため、民間企業の役員等を務め又は大量の株式を保有する議員が、会議に付議される事項について直接の利害関係を有するときは、審議及び議決に参加させないことができるものとすること」が決議された。
(文=小倉正行/フリーライター)
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