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レオパレス21、入居者のエアコン強制停止発覚…次々露呈の入居者軽視体質は問題だ

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト
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レオパレス21、入居者のエアコン強制停止発覚…次々露呈の入居者軽視体質は問題だの画像1レオパレス21本社(「Wikipedia」より/Rotatebot)

 テレビをはじめ各種メディアで7月31日、レオパレス21に関する新たな問題が報じられた。これまでも同社は、アパートオーナーとのサブリース契約の一方的な条件変更、解約の問題、管理物件の修繕について契約内容を履行していなかった問題、建築したアパートに界壁がなく建築基準法に抵触する恐れのある問題など、さまざまなトラブルが報じられてきた。

 今回は、この猛暑のなか、同社が手掛けたアパートでエアコンが3時間で自動停止するという問題が明らかになった。各社が報じた内容を要約すると、以下のようなものだ。

 レオパレス21が2002年1月から15年3月までに建築した物件に設置されたエアコンは、地球温暖化対策として3時間で自動停止するように設定されていた。その数は、全国で約39万台に上る。それが今夏の記録的な猛暑を受けて、入居者等からの苦情が急増した。エアコンに関する問い合わせは7月1日から29日までで1165件だった。同社は機器の交換や設定変更の対応に乗り出し、これまでに約6万4000戸で作業を終えたとされている。なお、同社は制限時間を設けたエアコンについて、「2015年4月からやめており、今後は設置しない」と説明している。

 3時間で自動的に切れるのはタイマー設定によるもので、リモコンには「このエアコンは、消し忘れ防止のため運転開始後3時間で自動停止します」と注意書きが貼られていたようだ。テレビ番組『とくダネ!』(フジテレビ系)では、ある1件の物件の契約書についても取り上げ、そのなかには「一部の物件を除き、3時間で自動的に停止するタイマー機能がついています。このタイマーの機能は設定を変更することができませんので、予めご了承願います」との記載があったという。

 現在、同社ホームページでは、エアコン(リモコン)ごとの解除方法や交換について公開している。

 なお参考までに、ほとんどのエアコンには強制的に「ON/OFF」ができるスイッチがエアコン本体に付いており、リモコンをOFFにした状態で本体側で操作すれば、つけたままにすることができるので、該当する方で本体にスイッチがある場合は試してみてほしい。

 同社はエアコンの設定について、「地球温暖化対策、省エネ対策として導入した」としているが、本音は電気代の節約といったところだろう。同社はサブリースで借り上げている物件も多く、現在もマンスリー契約の物件では同社が水道光熱費を負担している(最終的にはオーナー負担になっている物件もある可能性はあるが、入居者の負担はない)。少なくとも、入居者が電気代を負担する物件でエアコンの使用時間を制限していたら、それは別の問題になる可能性があるため、同社またはオーナーが電気代を負担する物件で起きていると思われる。

入居者を軽視するレオパレス21

 レオパレス21が管理する物件のセールスポイントには、入居者がすぐに生活を始められるように、家具・家電付きの物件を数多く用意していることや、家賃に「水道光熱費」が含まれていることがある。

 ホテルや宿舎、社員寮といった宿泊施設の運営などでも、エアコンやテレビなどの「消し忘れ防止」は、ひとつの課題となっている。ホテルなどでは、鍵で電気のスイッチをコントロールしているが、その設備の導入費は高い。

 予算の関係でそうした高額な設備は導入できないアパートでは、せめてエアコンの消し忘れや不要な動作を、リモコンによって強制的に停止させることにしたのだと考えられる。運営者側にとって都合がいいのは間違いない。

 しかし、今回のエアコンの件も、これまで同様、同社の入居者軽視の姿勢が感じられる。所定の賃料を支払った入居者に対して、水道光熱費の負担は同社もしくはオーナーが負担しているとしても、生活設備に制限を付けることはいかがなものだろうか。すぐにスイッチは入れられるものの、猛暑や極寒の時などで、夜中にエアコンが切れるという不便を想像できなかったのだろうか。

 また、違和感があるのは、今回の対応も同社が15年4月からエアコンのタイマー設定を採用しなくなったのであれば、なぜそのころから順次、同タイプのエアコンを設置している物件の入居者へ告知し、交換などの対応をしてこなかったのかという点だ。3年前からそうした対象の入居者になんらかの対策をしていれば、これほどまで大きな話題にはならなかったのではないだろうか。

 結局のところ、この件に同社の入居者に対する意識が表れているといえるだろう。これでまた同社の物件イメージが少なからず傷ついたのではないか。そして、今回のように入居者が困り、そのイメージで入居者が減れば、その先で困るのはやはり不動産オーナーだ。同社には、入居者も不動産オーナーも本当の意味では見えていないのかもしれない。一見、これまでの同社の問題に比べて、今回はエアコンが停止するという小さな問題のように思えるが、根底にある問題は同じで根深い。
(文=小林紘士/不動産ジャーナリスト)

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