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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

なぜ小池都知事と徳島市の遠藤市長は自ら「死に体」になった?私が遠藤市長に好感を抱く理由

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

大量得票で自信、改革を掲げる

 遠藤市長も小池知事もその当選は奇しくも同じ年、2016年である(遠藤市長は4月、小池知事は8月)。

 小池知事はマスコミへの露出が多いので、私たちの記憶に残っているのだが、大勝した小池知事は「都政刷新」を掲げて、その改革の象徴として選んだのが築地市場移転問題だった。16年8月31日の記者会見で、同年11月7日に予定していた築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転延期を表明したのである。

 遠藤市長にとっての「築地市場」は、「新町西地区第一種市街地再開発事業」だった。原前市長が進めていた本事業の総事業費は約225億円で、文化活動などに用いる新ホールの建設が中核だった。

 その計画の撤回を公約に掲げて当選した遠藤市長は16年6月、地権者に対する権利変換計画の不認可を通知した。これを不服とした再開発組合は同年8月26日、徳島地方裁判所に「徳島市による権利変換計画の不認可処分は違法である」として不認可処分取り消しと、計画認可の義務付けを求めて遠藤市長を提訴した。一審で市側が勝訴したが、再開発組合が控訴して、現在も訴訟状態である。

 既存勢力を象徴する、選挙民の誰もが漠然と大きな利権が絡んでいるのではないかと感じているプロジェクトを、勢いのある政治家は“改革の目玉”としていわば槍玉にあげる。ポイントを稼ぐということもあろうが、選挙による信任が大きいうちに手がけられる大きな改革を目指すのは政治家の本能でもあるだろう。

 小池知事のターゲットが築地移転問題だったとすれば、遠藤市長の次のターゲットとなったのがそれが徳島市最大の行事、阿波踊りの改革となったわけだ。

うまく舵をとれない2人の首長

 当選した16年の勢いは、東京でも徳島でも失速した。

 小池知事の勢いが止まったのは、17年10月の衆院総選挙の時だった。同年9月29日の会見で希望の党代表として会見し、他党からの移籍者を「排除する」と発言してしまった。この発言を契機としてすっかりそのカリスマを失ってしまった小池知事は、足元の東京都政でも「決断できない」「迷走している」などと批判されるようになった。

 小池知事が改革の目玉プロジェクトとして、その移転を延期していた築地市場問題も、結局18年10月の豊洲移転が決定され、「過去の小池知事の決定はなんだったのか」と嘲笑されるに至っている。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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