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ケンタッキーフライドチキン、底なしの連続大幅客減少で赤字転落…復活は困難か

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

主力以外の商品開発に着手する例が増加

 ここで一旦、視点をKFC外に移してみよう。専門店が主力商品に限界を感じ、専門外の商品を充実させるケースが増えていることに注目したい。

 たとえば、ミスタードーナツは主力商品のドーナツに限界を感じ、17年11月から「ミスドゴハン」と名付けてトーストやパイといった食事メニューの販売を始めている。現在はパスタやホットドッグなども加わり、メニューが充実してきている。ミスドゴハンの販売は好調だという。

 スシローやくら寿司など、大手回転ずしチェーンがサイドメニューを強化しているのもそうだろう。すしはフライドチキンと同じく付加価値をつけづらい商材で差別化が難しいため、各社はラーメンや牛丼などの食事メニューやスイーツを販売し、新規客の開拓やリピーターの確保に努めている。

 ミスタードーナツや大手回転ずし各社のように、KFCでも食事メニューを強化することが考えられる。ただ、KFCは世界規模で展開するチェーンのため、統一したブランドイメージを世界全体で確立する必要があることから、日本のKFCだけがラーメンなど突飛な食事メニューを展開することはなかなか難しい。

 そうなると、重要となるのが「新業態」の確立だろう。KFC事業は国内では大きな成長が望めない。そしてピザハット事業を売却した今、早期に第2の事業の礎を築く必要がある。

 KFC plusやTHE TABLE by KFCのようなKFCをベースとした新業態ではなく、従来とはまったく異なる業態店を新たに開発したり、M&A(企業の合併・買収)によって新たな事業の柱を手に入れる必要があるだろう。もっとも、日本KFCホールディングスはそのことをよく理解しており、成長戦略の一環としてM&Aを推進していくことを15年に公表している。

 海外市場の開拓も急務だ。同社は16年に、タイでKFCを運営する会社に対し、日本KFCホールディングス初となる海外投資を行っている。出資した会社は、別の会社が運営していたタイ国内のKFC約130店を譲り受けている。以後、店舗網を広げていく方針を示しており、20年までに230店にまで拡大させる考えだ。

 国内KFC事業の競争力が低下している今、同事業のてこ入れに加え、新業態の確立と海外市場の開拓が急務となっている。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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