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凋落のしまむら、品揃えの魅力「宝探し感」消失で客数減、ECを起爆剤に再成長狙う

文=A4studio
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 ところが、今はビジネスのニュースが幅広いメディアで取り上げられ、好調なところには注目が集まりますが、逆に売上が下がってくるとブランドイメージが悪化し、ファンも離れてしまいかねません。前述したように、今のしまむらでは『こんな掘り出し物を見つけられた』という宝探し要素が減ってきていますし、低価格で商品を買えるところは店舗でもネットでもほかにもたくさん増えてきているため、わざわざしまむらに行こうとはなりにくくなっています。

 そして、これは私の推測ですが、現代の若い方々は、単に安いだけの服には飛びつかなくなっている感があります。いいものを買っておいて、自分で大切に長く着たいというマインドの方が増えており、いざとなれば、メルカリなどのフリマアプリで転売することも可能です。そういう意味では、しまむらの置かれた環境は厳しいと言わざるを得ません。とはいえ、世界のアパレル専門店でベスト10に入り、営業利益率も7.6%あり、2~4%台の百貨店に比べて高収益力を誇っており、少し戦力が落ちてはいるものの、勝ち組であることは変わりません。だからこそ、今後の施策がなおさら重要になってくるわけです」(同)

 では、この先しまむらが挽回するためには、どのような手段が考えられるのか。ポイントになるのは、ECへの取り組みやグローバル化だという。

「7月9日、しまむら初のオンラインショップがZOZOTOWN内にオープンしました。かつてはアイテム数が多すぎて、しかも売り切り型だったために、ECで商品登録をして奥行き(数量)を多く売ることは非効率すぎました。けれども、前述した品揃えの絞り込みが、店頭の魅力低下を招く一方で、ECでの効率的な販売体制の確立につながりそうな兆しがあります。しかも、あれだけ単価が安いものを単独で個別宅配するにはコストがかかりすぎますが、手数料は高いもののZOZOTOWNを通じてまとめ販売・配送ができればメリットも享受できます。何よりも今まで顧客接点がなかった層を新しく開拓するうえで、オンラインショップが有効であることは間違いありません。欲しい色や柄、アイテムなどを気軽に選べ、24時間いつでも購入可能という利便性を提供できるわけですから、売上のシェアを伸ばすこともできるのではないでしょうか。

 それにしまむらには、以前から築き上げてきた、高度な物流システムがあります。もうしばらく時間は要するでしょうが、この物流力をECとうまく掛け合わせることができれば、店舗に在庫を置き、そこからお客への宅配サービスを行ったり、店舗での商品取り置きや引き取りなどによって店舗への送客を促し、客数の拡大に寄与することも可能です。今、しまむらはビジネスモデルを大きく転換しているところなのです。

 もう一つの課題でありチャンスなのが、グローバル化です。もはや海外の売上高が国内を逆転しているユニクロに比べ、しまむらはグローバル化がまったくといっていいほど進んでいないのが弱みでしょう。2001年に英国に進出したユニクロに対して、1998年に台湾に進出したしまむらのほうが海外への出店は先でしたが、2018年2月期の決算によると、台湾での年間売上が約59億円で、中国は約6億円。これに対しユニクロは世界18カ国・地域に出店し、海外の売上高は半年だけで5000億円以上を叩き出しており、しまむらの年間の売上高に追いつきそうな勢いです。

 海外で勝つためには、さらなる商品力とブランド力の強化が必要になります。特に他にない独自性となるPB商品のCLOSSHIを拡充することが解決策になってくるでしょう。ただ、それが日本のしまむらで期待されていることかというと、恐らくそうではありません。むしろ日本では、CLOSSHIを増やす一方で、減らしてしまった商品のバリエーションを、元に戻すことや、それ以上に、ECで獲得した顧客ニーズを商品開発に生かす、顧客起点の新しいビジネスモデルに転換すべきだと思われます。日本と海外で求められるビジネスモデルのギャップもこれから越えなければいけないハードルなのです」(同)

 物流力やローコストオペレーション力のように、しまむらならではの競争優位性もあるにせよ、若い世代や海外へのアプローチなど、まだまだ課題は山積みのようだ。
(文=A4studio)

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