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海外展開、買収が進行中
上記のような状況下、大衆薬業界は淘汰が進む。同メーカーの数は95年に524社あったが、00年は449社。05年に387社となり、08年には一気に158社へ激減している。通販規制があったせいで、古くから家庭で使われていた伝統薬のメーカーが、廃業に追い込まれたといった背景があるようだ。
だが、今後はさらに一層の淘汰が進むのではないか、という見方が強まっている。体力に余裕がある企業は海外事業に乗り出した。大衆薬最大手の大正製薬は、ブリストル・マイヤーズスクイブのインドネシア法人や、マレーシアの製薬企業・ホウ社などを買収。止瀉薬「正露丸」を持つ大幸薬品も中国での販売拡大を狙い、製品の広告宣伝を強化している。わかもと製薬や龍角散など、国内外によく知られる製品を持つ企業も、ブランド力を生かして海外展開をもくろむ。
そうした余力がない場合、大企業の傘下に入るといった手しか残されていないようだ。トクホンは、7月に大正製薬ホールディングスの傘下入りし、事業会社である大正製薬の完全子会社となる。貼り薬「トクホン」シリーズで知名度が高い割には、11年3月期売上高は50億円で最終利益も赤字だった。周辺環境の変化が、知名度を生かして細々と食いつなぐという、大衆薬メーカーの王道と言える生き方を難しくしている。
(文=草野 楽/メディカルジャーナリスト)
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