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スルガ銀行&TATERU事件、日本の不動産投資全体が縮小の動き…法律に欠陥

文=小林紘士/不動産ジャーナリスト
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すでに投資した資金の行方

 さて、ここで消費者の目線に戻ってTATERUの問題を考えたい。

 今、同社の問題発覚で不安を感じているのは、同社から現物の不動産を購入した方と、問題発覚前に「TATERU Funding」に投資した方だろう。

 TATERUからアパートなどの不動産を購入した方の不安は2つ考えられる。ひとつは、購入した不動産に問題ないかという点だが、この点は先に破綻したスマートデイズのシェアハウスのように特殊な不動産かつサブリース契約でない限り、立地や建物に問題がなければ運営に問題はないように思われる。2つ目は、同社の物件を購入するにあたり、融資に際して不正がなかったか、もし不正があった場合はどうなるのかといった不安だ。こちらは同社の今後の調査にもよるところがあり、その結果次第では金融機関側が同社の取り扱いをすべて確認し、状況によっては新たな問題となる可能性がある。残念だが、この不安は残ってしまう。

 一方、「TATERU Funding」にすでに投資してしまった方が気になるのは、投資した資金が戻ってくるのかという点だろう。問題発覚後、TATERUの株価は続落し、連日のストップ安の後、4月頭には2500円ほどだった株価が300円台まで下がっているのだから、不安になるのも当然だろう。ただ、不特法に基づくファンドは、事業者が劣後部分(万一、ファンドの対象の価値が下がっても、投資家の投資資金が棄損しないように一定割合ファンド事業者が出資している部分)を持っており、その範囲内の価格で売却できれば、投資家の資金は維持され、元本がそのまま償還される。また、条件付きながら同社のファンドは途中解約できることにもなっているようだ。

 そこで、もう少し問題を限定すると、今回の件で物件の売却が難しくなり、劣後部分を超えた価格でしか売却できない場合と、途中解約が相次ぎ同社の資金が枯渇する場合が考えられる。物件によってリスク度合いが異なるため、ファンドの劣後部分の割合も物件によって異なるはずなので、投資した対象物件によっては投資家の元本割れの恐れもあるが、不動産市場自体が急激な悪化を見せなければ、劣後部分の範囲内で収まる可能性が高い。

 また、同社の資金は2018年6月期の第2四半期決算報告を見る限りでは、潤沢に現預金はあるようなので、よほどのことがなければ途中解約に応じられないほど資金が枯渇するということはないように思われる。

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