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カール教授の超入門ビジネス講座

世界のトップ・ビジネススクールで教えている、出世の早い人の「共通点」

文=平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長
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「構造同値」のポジションから脱出せよ

 さらにバートは「構造同値」のポジション、すなわち、ほかの人とまったく同じポジション(位置)を占めているは競合関係に巻き込まれやすい、と議論しました。

「構造同値」とは、ネットワーク内のある人をほかの人と入れ替えても、人脈ネットワークの構造に変化がないことを指します。つまり会社でいえば、「構造同値」とは、いつでも他人にとって代わられる存在といえます。したがって個人の戦略としてはできるだけ、こうしたポジションから脱出する必要があります。

 バートは自分が他者とどの程度、構造同値か、自分がかかわりをもつほかの人々がどれだけ密度が濃く結束しているかによって、人々がネットワーク内部で持つ空隙の量が決定するとしました。

 たとえば、あなたは会社に知り合いが10人いるとします。そして彼らの知り合いもその10人だけで、かつ10人全員がお互いを知っていたとします。その場合、あなたと残りの9人は「構造同値」の関係にあり、あなたが会社を辞めても9人の人脈ネットワークはまったく変わらない(あなたがいないだけ)ということになります。密度が濃く結束している場合には、すぐに他の人と「構造同値」になってしまうのです。それが「空隙がない」ということです。

 そこでは、もしあなたがほかの会社に転職する場合でも、元の職場で築いた人間関係を自身にとって大切なものと見なし、その関係を良好なものにしておけば、新しい職場では、あなた以外の人の人間関係とあなたの人間関係とは重ならない可能性が高くなります。その結果、あなたは新しい会社においては構造同値になりにくいポジションになれる、ということです。

「立つ鳥跡を濁さず」という諺がありますが、長い人生のなかでは必ず、以前所属していた組織やそこにいた人たち、あるいは学生時代の知人とも関係をもつ可能性が生まれるものです。そうした意味からも、過去に出会ったあらゆる人たちとのつながりを大切にすることが、ネットワーク理論上は重要だといえるでしょう。

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(文=平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長)

平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長

平野敦士カール/株式会社ネットストラテジー代表取締役社長

米国イリノイ州生まれ。麻布中学・高校卒業、東京大学経済学部卒業。


株式会社ネットストラテジー
代表取締役社長、社団法人プラットフォーム戦略協会代表理事。日本興業銀行、NTTドコモを経て、2007年にハーバードビジネススクール准教授とコンサルティング&研修会社の株式会社ネットストラテジーを創業し社長に就任。ハーバードビジネススクール招待講師、早稲田MBA非常勤講師、BBT大学教授、楽天オークション取締役、タワーレコード取締役、ドコモ・ドットコム取締役を歴任。米国・フランス・中国・韓国・シンガポール他海外での講演多数。


著書に『プラットフォーム戦略』(東洋経済新報社)『図解 カール教授と学ぶ成功企業31社のビジネスモデル超入門!』(ディスカヴァー21)『新・プラットフォーム思考』・『シリーズ 経営戦略・ビジネスモデル・マーケティング・金融・ファイナンス』(朝日新聞出版)監修にシリーズ18万部を突破した『大学4年間の経営学見るだけノート』『大学4年間のマーケティング見るだけノート』(宝島社)など30冊以上。海外でも翻訳出版されている。

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