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小笠原泰「日本は大丈夫か」

大学、5年制案…ラスト1年は学費無料で就活に専念、企業はスキル別採用

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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終わりに

 繰り返しになるが、筆者は原則的には就活ルール制定と強制化には反対である。大学や就活関連業界関係者、そして学生や企業までが、就活ルール廃止は混乱を招くと言うが、筆者は、それを多様化と言う。多様化とは、そもそも人と比べることが意味を持たないから多様化なのであり、自分の意見や考えがしっかりしていなければ当然不安になる。

 グローバル化とは多様化に向かう世界である。そして、多様化に向き合うとは、自分の意見や考えをしっかり持つ、つまり判断基準は自分なのだということを理解することである。しかし、このような多様性の意味するところを教育は教えず、また、学生も理解することもなく、政治家を筆頭にマスコミも、ただ掛け声だけで終わっているのが日本社会の現実である。多様性は重要だと言いながら、多様化するのは心配で、実は多様性は嫌いなのである。これは、心配なので個性のない同じリクルートスーツを皆で着ながら、面接では個性を語るのと本質は同じである。まず、学生がこの意識を変えられなければ、日本社会は変わるまい。

 また、就活ルールがあるときは現状に文句を言いながら、いざそれが廃止されるとなると「困る」という反応は、現状変更が嫌いな日本人の典型的な反応でもある。一時的な混乱は起こるであろうが、それは不可逆なグローバル化への適応のためのコストである。コストなしにベネフィットは得られない。そして、一次的な混乱の時期を経て就活ルールは自然に決まってくる。つまり、新たな自然発生的秩序が必ず生まれるのである。それが社会である。就活ルール廃止はリスクかもしれないが、リスクを取らないことは、それ以上のリスクであることを肝に銘じる必要がある。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

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